牛島俊之 宮岡成次 共著

黒ダイヤからの軽銀
――三井アルミ20年の歩み――

A5判、上製本、270頁、定価2,057円(本体1,905円)



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推薦の辞

       眞島 公三郎(三井金属鉱業竃シ誉相談役)

 かつて三井アルミニウム工業鰍フ国内と海外事業の中枢で活躍された故牛島俊行(三井鉱山出身)と宮岡成次(三井金属出身)両氏の労作『黒ダイヤからの軽銀 三井アルミ二〇年の歩み』が刊行されることになった。

 強くて軽い優れた特性を持つ金属、アルミニウムの製造は、三井グループとしても戦前に短期間操業した実績があり、戦後その再開は多年の願望だった。
 昭和四三年にいたり、三池炭の安定需要の確保と産炭地域振興を図る三井鉱山が中心となって、三井金属、三井化学、三井物産、三井銀行の五社共同事業として三井アルミニウム工業鰍設立し、三池炭鉱の坑口に近接して発電所と電解工場を、また五社と三井アルミ社の共同出資により三井アルミナ製造鰍設立して北九州市若松の響灘にアルミナ工場を建設して、戦後五番目のアルミ製錬メーカーとして業界に復帰した。

 三井アルミ、三井アルミナ両社は三井グループの総力を結集した事業であり、出資五社はそれぞれの分担した分野に経営資源を投入し、両社と一体となって事業の成功に最大限の努力をして順調なスタートを切った。
 しかし、営業開始の年に始まった円高や、その後のオイルショック、そして公害規制強化など厳しい環境により、製造コストの上昇とともに設備稼働率が低下し、苦しい経営状況が続くことになった。

 三井アルミの自家発電は石炭専焼であったので、オイルショックに対し、国内同業他社に比べ有利だったが、円高の大幅かつ急速な進行に対抗できず、全社あげての経営努力、発電所の分離、アルミ・アルミナの一体化などグループ各社の再建支援と関税割当制度などの政策支援にも拘らず、事業継続は不可能となり、会社設立から僅か二〇年で解散し、アルミ事業から撤退することになった。
 これに伴い円滑な事業撤退のため、出資各社は多大な損失を負担せざるを得なくなり、財務処理などの対応に追われることになったが、撤退の時期についても寄合いによるお神輿経営のためタイミングを失した感がある。アルミ事業の本質に関する検討や、三井グループ事業としての企業行動などの反省が必要と思われる。

 会社解散から約二〇年の歳月が流れた今日、三井のアルミ事業は何だったのか、何故失敗したのかは、事業の歴史を正しく認識することによって解明が可能だ。関係者の多くが他界され、文献、資料等も散逸しつつある現在、冒頭に紹介の二人が種々の困難を克服してまとめあげたこの『黒ダイヤからの軽銀』は、三井グループにとっても、またアルミ業界にとっても歴史の認識のための貴重な記録であると思料する。
 両氏の多大な努力に対し、心からの敬意と感謝を申し上げ、推薦の辞といたしたい。


                      目


第一編 設立から第一期竣工まで〈栗木社長時代・昭和四六年五月まで〉

第一章 A計画委員会
1戦前の三井のアルミ製錬 2戦後の状況 3A計画委員会の発足まで
第二章 電力の確保
第三章 基本協定書の調印
第四章 会社設立から起工式まで
1会社設立 2技術調査団 3採用技術の決定 4業界の反対運動 5事業の実行計画 6技術援助協定の認可 7土地取得 8電力 9要員確保と教育 10三池建設事務所の発足と起工式
第五章 三井アルミナ製造鰍フ誕生
1アルミナ自製方針決定 2会社設立 3技術と立地
第六章 三井アルミの操業開始まで
1計画の見直し 2資金調達 3発電所機器調達など 4電解工場の建設
5経営組織と人事 6石炭購入協定 7公害防止協定 8原料の調達
第七章 初期の操業
1電解工場のスタートアップと創業記念碑 2発電所のスタート 3当初の製品販売 4竣工式と社長交代

第二編 第二期の建設〈栗村社長時代・昭和五〇年夏まで〉

第一章 七万五千トン体制確立(昭和四七年三月)まで
1A‐2の建設と操業 2排煙脱硫装置 3発電二号機立地問題 4投資と技術開発 5資金調達 6人事労働
第二章 アルミナの生産開始
1 アルミナの生産開始 2株主間基本協定 3資金と人事
第三章 弗素対策
第四章 第二期増設計画と第一次石油危機
1計画決定 2建設着工と第一次石油危機
第五章 海外開発とアマゾン計画の始動
1業界共同プロジェクト 2アマゾン計画
第六章 七万五千トン体制での操業
1生産 2販売と収益 3その他の特記事項 4昭和四八〜五〇年度のアルミナの業績 5国際関係 6資金調達

第三編 再建とアマゾン計画遂行〈川口社長時代昭和五九年六月まで〉

第三編(上)第二期の完成と発電所分離〈川口社長時代・昭和五五年三月まで〉
第一章 第二期の操業開始
1電極工場完成とB‐1通電延期 2発電二号機の運転開始 3B‐1の通電開始 4アルミナ第二期の竣工 5Bラインの設備完成
第二章 その他の国内事項
1株主構成 2役員と従業者数 3その他人事関係 4発電コストと環境対策
5技術と開発
第三章 海外開発の進展
1アサハン計画 2アマゾン計画 3その他の海外開発案件
第四章 構造不況対策
1国内需給の推移と業界の対応 2アルミ製錬対策 3その他業界の動き
第五章 発電所分離
1MAICによる支援策検討 2発電所の分離

第三編(中)第二次石油危機と一体化〈川口社長時代・昭和五七年九月まで〉
第一章 第二次石油危機とその影響
1第二次石油危機と地金価格 2三井アルミの対応 3七〇万トン体制へ
第二章 アルミ・アルミナの一体化
1合併実行委員会 2新アルミの発足 3発起五社の支援
第三章 アマゾン計画の進展とその他海外計画
1実行予算承認 2本格着工 3アルノルテ工事の凍結問題 4その他海外
第四章 技術などの特記事項
1製錬技術改善・開発 2新製品開発 3流動床ボイラー 4廃棄物の利用 5人事 6購買

第三編(下)第一次合理化〈川口社長時代・昭和五九年六月まで〉
第一章 経営環境
1業界の状況 2親会社 3電力
第二章 第一次合理化
1総合委員会 2緊急措置・第一次合理化 3産構法 4海外部門の一部譲渡とC15運動
第三章 社長交代
1昭和五八年度決算 2役員の交代

第四編 存続への苦闘、そして解散〈村松社長時代・平成元年三月まで〉

第一章 第二次合理化と増資
1新社長就任 2本社組織 3組合の統合と第二次合理化 4増資と低利融資
第二章 三五万トン体制
1設備処理と関税軽減 2備蓄の買戻し
第三章 若松休止と第三次合理化
1休止の提案 2アルム興産と若松の休止 3三井アルミナの減資
第四章 アルブラスの竣工
1建設費の低減 2派遣と研修 3竣工式と初出荷 4操業開始後の諸問題
第五章 熔鉱炉製錬法
第六章 新会社への営業譲渡と解散、第四次合理化
1事業環境の悪化 2新会社への営業譲渡 3解散・清算と合理化
第七章 新三井アルミと電解停止・第五次合理化
1新三井アルミの誕生 2製錬撤退と第五次合理化
第八章火力の新会社と新三井アルミの終焉
1鋳造部門の操業 2新三池火力 3後継会社の設立 4アルブラス第二期建設 5解散までの資産処理 6新三井アルミの終焉

付 会社解散後の推移
1三井アルミの清算 2三井アルミナの清算と脇の浦埋立 3三池火力のその後 4発起五社の損失負担 5九州三井アルミのその後 6海外事業のその後 7むすび

資料〈主要記録/年度末社員数の推移/総括表〉
三井のアルミ製錬事業総合年表

参考文献
あとがき