このサイトは、本誌の定期購読契約者のみが利用できるメンバー専用ページです。

NO.2008(2010年11月1日号)

TSCとアクモが開発
高出力マグネシウム一次電池
電解液などに独自のパワーセル技術

TSCはマグネシウム板を負極とする高出力マグネシウム一次電池を実用化した。従来の技術ではマグネシウムの表面に電気もイオンも通さない皮膜ができて放電がストップ、実用化のネックとなっていたが、独自開発の「AQUMO」パワーセル技術で解決した。

 TSC(埼玉県川口市、鈴木進社長)とアクモ(東京都港区)は高出力マグネシウム電池を実用化した。負極にマグネシウム板、正極に銅板を採用した一次電池で、水電池と空気電池の2タイプを開発した。
 食塩電解液などを使用する通常のマグネシウム電池ではマグネイオンと水酸化イオンが結合して金属マグネシウムの表面に水酸化マグネシウムの皮膜を形成。その結果、放電が途中で止まってしまうため、高出力マグネシウム電池の実用化開発は成功には至っていなかった。
 TSCはマグネイオンと水酸化イオンの結合を防ぎ、マグネシウム金属が完全に溶け切るまで最大限放電を可能にする「AQUMO(アクモ)技術」を開発。同技術による「AQUMOブラック」を銅板、マグネシウム板、セパレターの間に挟み込んだ4層構造の電池を実用化した。
 「AQUMO技術」を含む電解液ではマグネイオンと水酸化イオンが結合しないため、マグネシウムが溶け出し放電が止まることがない。「AQUMOブラック」は特許出願中だが、詳細を明かさないブラックボックス化。「AQUMOブラック」のタイプおよび構造により、水電池と空気電池の2種類の電池が製作可能という。
 単相の基本仕様は電圧値が1.5V〜2.0V、電流値が50o角で約550oA〜1.2Aで、リチウム電池を超える出力が得られるという。
 負極に使用するマグネシウム板材は日本金属が供給する。TSCとアクモは提携先を探して同技術のライセンス契約を締結、製品化する考え。


8月のアルミダイカスト生産
6.78万d、前年同月比17.6%増

 経済産業省の金属製品統計によると、8月のアルミダイカスト生産量は6万7,782d、前年同月比17.6%増となった。10ヵ月連続のプラスだが、08年8月の7万4,129d(458億2,600万円)に比べると91.4%の水準。
 伸び率も今年2月114.0%、3月84.6%、4月61.2%、5月35.1%、6月30.9%、7月21.5%に続き、縮小傾向にある。


8月車向けアルミ出荷、11.1万d
21.1%増、08年8月比では94.5%

 経済産業省および日本アルミニウム協会によると、8月の自動車(二輪車を含む)向けアルミ製品出荷量は11万1,097d、前年同月比21.1%増となった。
 プラスは09年11月以来、10ヵ月連続だが、08年8月の11万7,605dに比べると94.5%の水準。増加率も2月127.7%、3月106.7%、4月68.4%、5月41.6%、6月34.5%、7月23.2%と縮小傾向にある。


アルミ協会がリサイクル調査
09年度Alホイール回収率15%

 日本アルミニウム協会・車輪委員会はこのほど、「アルミホイールのリサイクル調査」を実施した。これまで会員会社からの報告に基づき、アルミホイールの製造量・販売量を集計・公表してきたが、「静脈流(回収マテリアルフロ−)」の実態は把握できていなかった。このため、アルミホイールのリサイクル実態調査を行い、回収率・再資源化率を上げるための方策を検討する第一歩とした。
 機関誌『アルミニウム』に調査結果の概要を掲載。アルミホイールメーカー18社(JAWA会員会社を含む)、二次地金メーカー14社、サッシメーカー5社の計37社を対象に、2009年度におけるアルミホイール(二輪車、乗用車、バス・トラック用)の生産・販売・回収状況を調べた。
 それによると、アルミホイールメーカー、二次地金メーカー、サッシメーカー合計の回収量は2万8,625dで、販売ホイール重量(国内製造+輸入)19万7,104dの約15%に相当する。国内生産重量9万7,833dのうち回収ホイールの使用量は1万7,749dで、約18%を占めた。
 二次地金メーカーによる回収アルミホイール量は1万6,639dで、そのうち約63%の1万500dがホイール生産の再生地金原料として使用された。またアルミホイールメーカーによる回収量が7,189d、サッシメーカーによる回収量も4,797dにのぼった。
 なお、今回の調査には含まれなかった自動車メーカーによる回収量は7,000dから1万2,000dと推定され、今後調査対象を広げる必要があるとしている。


上期カラーAl出荷、40.2%増
建材2.0%増、非建材48.7%増

 日本アルミニウム協会のまとめによると、2010年度上期のカラーアルミ出荷量は1万2,170d、前年同期比40.2%増となった。上半期としては2年ぶりに1万d台回復となったが、08年度上期の1万3,736dに比べると89%の水準。過去最高である03年度上期の1万4,863dからは18.1%減となっている。
 用途別内訳では建設資材が1,618d、2.0%増と僅かながら、10年ぶりにプラスに転じた。過去最高である90年度上期の6,319dからは74.4%の大幅落ち込みとなっている。
 一方、非建設は1万552d、前年度上期比48.7%増。ただ過去最高である08年度上期の1万2,023dに比べると87.8%の水準。


宮本製作所「グッピーストーン」
Mgで活性水素発生、熱帯魚水槽浄化

 宮本製作所(茨城県、宮本隆社長)はマグネシウムが水と反応して活性水素を発生する特性を応用、熱帯魚水槽の水質管理用天然石「グッピーストーン」(写真)を新発売した。
 天然石の小石に純マグネの粒を混ぜたもので、水槽の底砂として利用。水を入れてから約1週間活性水素が発生してバクテリアの繁殖を促す結果、水が浄化されて水槽に藻もつかない。活性水素はカルキを除去するため、水道水を利用する場合でもカルキ抜き剤が不要。水の酸化(腐敗)を防ぐ効果もある。稚魚の生まれる量や、発育状態も極めて良好という。
 1週間程度で石の表面に酸化皮膜ができて活性水素が発生しなくなるが、バクテリアによる浄化効果は3〜4ヵ月持続。水交換の際、水洗いすることで酸化皮膜が除去されて再度活性酸素を発生させるため、半永久的に繰り返し使用することができる。価格は3,800円(消費税込み)、月5,000個の販売を見込んでいる。


フジ精工・フジ総業が展示
「オールマグネシウムの木」

 フジ精工(浜松市天竜区、酒井慶二郎社長)は既報の通り、マグネシウム関連商社のフジ総業(浜松市中区)を設立したが、このほど開催された茨城マグネシウム工業会主催の「国際マグネシウム展」に出展、PR活動を展開した。
 フジ総業は中国からマグネ合金の原材料や製品を輸入するほか、韓国・ポスコから圧延品を輸入。一部はフジ精工加工部内で加工し、箔圧延品やパイプ曲げ品を受注販売する。
 展示会では、両社が保有する製品群・加工技術の粋を集めた「オールマグネシウムの木」を展示した。桜をイメージした葉っぱは板厚約90μm(0.09o)の圧延板材をプレスで打ち抜いて製作。枝は線材(AZ31B溶接棒・径1.2oと2.0o)、幹は押出パイプ製で径50.8oから13oまでのパイプを8段アルゴン溶接した。下の台はポスコ製の圧延板材。「ここまでの加工レベルは他社にはない。今後もさまざまなイベントで活用、PRに役立てたい」(鈴木静明フジ総業常務取締役)。


YKKスナップファスナー無錫社
工場増設、12年度売上6割増へ

 YKKは19日、グループ会社であるYKKスナップファスナー無錫社(資本金1,500万米j)が第2工場を建設すると発表した。1,300万米jを増資、2011年6月完成予定で床面積約7,500uの建屋を建築、工場規模は約2万2,500uに拡大する。
 同社は04年3月にスナップ・ボタン事業における生産・販売拠点として設立。05年度から生産・販売活動を開始したが、販売数量が順調に拡大し、生産能力を超える水準になっている。
 今後も米国の消費者製品安全性改善法(CPSIA)などの有害物質規制にいち早く対応した商品展開で販売数量の拡大を計画している。工場の増設により、12年度には09年度比約60%増の7,300万米jを目指す。


8月アルミサッシ生産、4.6%増
住宅用9%増、ビル用0.2%増に

 8月のアルミ建材生産・出荷統計によると、総生産量は2万3,661d、総出荷量は2万7,675dで、ともに前年同月比5.0%増となった。出荷金額は400億9,200万円、4.8%増。d当たり平均出荷単価は144.9万円で、前年同月の145.1万円に比べ0.1%下落した。
 このうち、サッシは生産が1万4,417d、4.6%増、出荷が1万7,418d、4.2%増。出荷金額は263億7,000万円、5.3%増で、平均単価は1年前の149.8万円から1.1%アップの151.4万円に。
 住宅用サッシは生産が9.0%増、出荷が8.2%増で、出荷金額は9.3%増。平均単価は142.5万円で、昨年8月の141.2万円に比べ0.9%上昇。ビル用は生産が0.2%増、出荷が0.7%減と、これまでの2ケタ減からようやく下げ止まりの兆しが出てきた。平均単価は163.2万円で、1年前の160.4万円からは1.7%上昇した。


9月末の軽圧品流通市況
全地区・全品種が横ばい

 全国軽金属商協会・市場調査委員会(萬世興業・横山順司委員長)によると、9月末の軽圧品流通市況は東京、大阪、中部の3地区とも、全6品種が前月末比変らずの結果となった。
 7〜9月期のNSP地金価格が260円、4〜6月期比10円高となっている中で、東京地区では快削棒と63S形材が5円の積み残し、52S板と56S棒は10円全額未転嫁の状況。
 アルミ地金の海外相場は8月の安値から9月に入って反発、10月も高値を維持している。ただ、10〜12月期のNSP地金価格は30円安の230円となるため、上値追いは微妙。


アルミ箔の新用途アイデア募集
発明学会、東洋アルミが協賛

 発明学会はアルミ箔(アルミニウム・フォイル)の新用途アイデアコンクールを実施する。アルミ箔を利用した新製品、新用途を募集するもので、アルミ箔の最大手東洋アルミが協賛する。 これまでに発明学会会員のアイデアが活かされてアルミ箔ではたくさんのヒット商品が誕生。会員が工夫した天ぷらガードは20数年のロングヒット商品。その他、換気扇フードや数多くの家庭雑貨品が商品化されている。照明器具の反射にも利用され、電気代節約アイデアが一般家庭で広がった。農家では会員のアイデアで、イチゴ栽培の苗床に敷かれ、太陽の光をイチゴの裏側から当てて実を赤く熟れさす栽培法が注目され、リンゴ栽培にも利用されている。
 優れたアイデアに対しては発明奨励金として総額30万円を用意。最優秀賞(1名)に奨励金10万円をはじめ、優秀賞(同)、優良賞(5名)、奨励賞(20名)それぞれに5万円、1万円、5,000円と賞状を授与。商品化が決定した場合には、別途商品化の契約を行う。特許、意匠などの知的財産は応募者本人のものとなる。
 応募する場合は、応募セット(2件応募用応募用紙2枚+アルミ箔サンプル見本+参考情報資料1部)を取り寄せて、1件(応募用紙1枚)あたり会員2,000円(税含)、非会員3,000円、学生1,000円の参加費を同封のうえ郵送する。応募セットの請求先は東京都新宿区余丁町7-1発明学会(電話03-5366-8811。http://hatumei.jp)。
 応募締切りは2011年1月20日。結果発表は機関誌「発明ライフ」11年4月号、HPで。


TOEXがEV仕様機能門柱新発売
電気自動車充電コンセント搭載

 TOEXはこのほど、住宅用のファンクションユニット(機能門柱)に電気自動車(EV)用充電コンセントを搭載した「スクリーンファンクションユニットFV仕様」を新発売した。充電コンセントは主なEVのプラグに対応したタイプを用意しており、10年度3月末までに2,000万円の売上げを見込んでいる。
 同ファンクションユニットはEV用充電機能と照明、サイン、インターホン、ポストなど機能門柱の機能を合体することで、門まわりの機能を集約。コンセントはメーカーによって異なる充電プラグに対応するため、「AC100V 15A」2タイプと「AC200V 20A」2タイプの計4タイプを用意。 価格は前頁・写真のスクリーンファンクションユニットとの組み合わせで21万945円(うち、充電コンセントの価格は7万3,500円)。


大紀アルミ100%子会社の陽紀
アルミ二次合金の溶湯事業休止

 大紀アルミニウム工業所は20日、100%子会社の陽紀(愛知県西尾市、村尾一郎社長、資本金2億5,000万円)でのアルミニウム二次合金(溶湯)の製造販売を10月末で休止すると発表した。需要が減少、今後も回復が見込めないため事業継続を断念した。これに伴い、2011年3月期決算で5億円の関係会社評価損を特別損失として計上する。
 陽紀は85年1月に設立してアルミスクラップなどの売買を開始。99年12月から二次合金(溶湯)の製造販売を行ってきたが、販売数量は04年度(12月期)の4.7万dをピークに08年度2.5万d、09年度約1万dと大幅に減少。需要減に伴い09年度の売上高は20.32億円と、07年度の118.68億円から急減、経常損失も0.97億円から4.05億円に拡大していた。


トステムが新タイプの土間収納

 トステムはこのほど、内装建材の主力商品である「ウッディーライン」シリーズで土間収納「クローゼット折れ戸すっきりタイプ」とシューズクローク用収納棚板セット「すっきり棚」を新発売した。
 外側から枠が見えずにすっきり納まる「折れ戸」と「すっきり棚」を併用することで、ベビーカーやアウトドア商品など泥汚れが気になるものも三和土(みたき:土足エリア)に置いたまま使うことができる。扉が上吊り方式のため、三和土面から離して取り付けることができ、物の出し入れや三和土の掃き掃除も楽に行える。


YKK APが「APW310」新発売
戸建て住宅用アルミ樹脂複合窓

 YKK APは10月20日、窓事業ブランド「APW」の新商品として、環境性能とデザイン性を兼ね備えた戸建て住宅用アルミ樹脂複合窓「APW310」を発表した。昨年7月発売の樹脂窓「APW330」と共通コンセプトで開発された商品で、11月1日から東北・関東・甲信越地方で発売、来春から全国展開する。
 室外側にアルミ形材、室内側に樹脂形材を組み合わせたアルミ樹脂複合フレームとLow-E複層ガラスで構成。窓などの断熱性能表示制度「省エネ建材等級」で最高の4つ星と3つ星の断熱性能を実現。一般的なアルミフレームと複層ガラスの窓に比べ光熱費を約25%節約。CO2排出量も約25%削減するなど環境への負荷を低減する。
 また、住宅用アルミ窓では業界初の「ガラス接着技術」を導入。強度や水密性など窓としての性能を高めるとともに、外観はアルミの質感を生かしたシャープでシンプル、かつフラットな意匠性を実現。内観では樹脂素材の持つ温かさや柔らかさ、高い防露性も備えた。
 商品バリエーションは片上げ下げ窓、たてすべり出し窓、すべり出し窓、FIX窓、片引き窓、両袖片引き窓、各種連窓。価格は片上げ下げ窓(W640×H1,170o、3+A16+3o・Low-E複層ガラス)で4万4,205円。初年度10億円の販売を見込む。


日本金属が量産技術を確立
AZ61・LZ91・AM60板材

 日本金属は既報の通り、マグネ板材の合金種を増やしている。先頃東京ビッグサイトで開催された国際マグネシウム展で新商品群を紹介した。
 これまでの主力のAZ31Fに加え、AZ61Fの展伸コイル材の量産化に成功。AZ31Fはα単相のため成形性には優れるものの、YS(耐力値)は最大300MPaと高強度化に限界があった。また、耐食性・表面処理性も悪かった。AZ61材は新開発の圧延技術により圧延中にナノオーダーのβ(Mg17Al12)相が微細析出し、高強度を実現。アルミ添加量増で良好な耐食性と表面処理性を可能にした。
 一方、冷間成形が可能な板材として、従来のTMP(集合組織制御技術)材に加え、リチウム添加のLZ91合金板材も出展。台湾国立東華大学の王建義教授が開発した合金を利用、LZ91(O材)の密度は1.47とAZ31B(F材)の1.78に比べて軽量化。引張強度130MPa、0.2%耐力95MPaはAZ31B材の295MPaと245MPaを下回るが、伸びは40%で、AZ31B材の21%の2倍強。AM60は板幅105oと230o、板厚0.3oのコイル材を展示した。


図・表・写真は本誌でご覧ください。