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NO.1562(2001年11月26日号)
クライム・ワークス
非鉄の精密機械加工で好成長
3D形状のマグネ試作品も一体で


 創業11年目を迎えた若い企業ながら、精密機械加工のクライム・ワークスは、圧延材の削り出しによる3次元形状マグネシウム成形試作品の一体加工技術を武器に成長を続けている。

 精密機械加工のクライム・ワークス(東京都大田区大森南、電話3742-0691、山口誠二社長)の事業が順調に拡大している。家電や自動車の新製品開発には欠かすことが出来ない試作品の製造が主力。素材はアルミニウムが約8割を占め、樹脂もあるが、なかでも3次元(3D)形状の高精度マグネシウム合金製品を、マシニングセンタにより圧延材から削り出す一体型加工を得意としている。試作品のほか、レース用部品などの小ロット品、試作用金型も手懸けている。
 マグネシウムの場合、現在の取引先は約20社だが、スポット的な受注も含めると年間約100社に及んでいる。業種は電機、自動車を始めとして多種多様で、試作する部品は月に約200点。多いときで500点にものぼるという。
 マグネシウム製部品の試作は鋳造法が一般的で、削り出しによる試作品製造は少ない。同社も、ある程度ロットのある試作品には石膏鋳造(プラスターモールド)でも対応しているが、「試作品は強度などの評価をするため、基本的に一体型で削り出す必要がある。ピックアップ部品など厳しい精度が要求される機構部品を含めて複雑な3次元形状の試作品を削り出すことができるメーカーは少ない」(山口誠二社長)。B5サイズのノートPC筐体の試作で納期は1週間から10日。「短期間で、より優れた製品をより低コストで提供する」(同)ことで顧客から高い評価を受けている。
 同社は平成2年6月、当時27歳の山口社長が設立した。2001年4月期は3億5,000万円と過去最高の売り上げを記録。IT不況の影響を受けマグネ業界の環境も厳しいが、今年度も上期は前年同期比で「若干の増収となった」。ただ、同社の売上げは下期が約6割を占め、「下期で前年度並みの実績が残せれば、今年度の目標としている4億円の売上げは達成可能だが、今年は不透明」。
 今後の目標は試作品の製造にとどまらず、2次元データからの3次元のモデリングを手始めに、「部品の設計提案など、顧客とデータを一元化することで開発のスピードアップにつながるようなお手伝いをすること」という。



8月圧延品稼動率76.8%
板79.7%、押出73.6%
 日本アルミニウム協会がまとめたアルミニウム圧延品の稼動率推移によると、8月の稼動率は76.8%と7月の89.3%から一挙に12.5ポイントと低下。前年同月に比べても7.3ポイントの落ち込みとなった。稼動率の80%割れは昨年1月の78.4%以来19ヵ月ぶりのこと。
 品種別の稼動率では板が79.7%で7月の96.0%から16.3ポイント、前年同月比2.8ポイントのマイナス。生産能力は月間11万9,370dで横ばいなものの、生産量が9万5,096d、今年7月比17.0%減、前年同月比3.5%減と大きく落ち込んだため。稼動率が80%を下回るのは99年1月の78.2%以来のこと。
 一方、押出の稼動率は73.6%。前月比8.2ポイント、前年同月比12.3ポイントの低下。生産能力が10万6,707d(今年7月比横ばい、前年同月比6.4%増)の一方で、生産量が7万8,546d(今年7月比10.0%減、前年同月比8.9%減)と落ち込んだ。70%台の稼動率は今年5月の79.4%以来のこと。



軽金属学会50周年記念表彰
特別功労賞に小島氏など4氏
 軽金属学会(菅野幹宏会長)はこのほど、創立50周年記念事業の一環として同学会の発展に格段に寄与した人に贈られる記念功労・功績賞の 受賞者を決定した。特別功労賞に長岡技術科学大学の小島陽教授など4氏が、学術功績賞に神戸製鋼所の江藤武比古氏ら8氏が、また運営功績賞にはアルミ圧延大手7社などが選出された。表彰式は16日、東京プリンスホテルで行なわれる。受賞者は以下の通り。(敬称略)
【特別功労賞】▽小島陽(長岡技術科学大学)▽小林俊郎(豊橋技術科学大学)▽時末光(日本大学)▽渡辺亮(日本アルミニウム協会)【学術功績賞】▽伊藤吾朗(茨城大学)▽江藤武比古(神戸製鋼所)▽鎌土重晴(長岡技術科学大学)▽熊井真次(東京工業大学)▽坂口雅司(昭和電工)▽里達雄(東京工業大学)▽武林慶樹(神戸製鋼所)▽吉田英雄(住友軽金属工業)【運営功績賞】▽神戸製鋼所▽昭和電工▽スカイアルミニウム▽住友軽金属工業▽日本軽金属▽古河電気工業▽三菱アルミニウム【記念感謝状】▽軽金属奨学会▽アーレスティ▽日刊工業新聞社▽関西電力▽三協アルミニウム工業▽新日軽▽東京電力▽東洋アルミニウム▽トヨタ自動車▽YKK【記念功労賞】▽産学官関係者計186名。



日本アルミニウム協会
来春にアルミドロスをJIS化
世界初の快挙、再資源化を促進

 日本アルミニウム協会(平田英之会長)はアルミドロスの有効活用の試作研究や再生利用を目指した標準化調査を実施してきた。その成果の一つとして、2002年春にも鉄鋼製造の副資材としてJISが新規制定される見通しである。

 標準化によって再利用、再資源化を促進するもので、社会的な要請である産廃の減容化にも貢献する。ドロスの規格化は世界で初めてで、グローバルスタンダードのモデルとしても注目を集めている。
 アルミドロスはアルミ溶解時に溶湯の表面や炉底に残った鉱滓。日本全国のアルミ関連工場で年間で約36万d発生するといわれ、このうち約14万dが工場内でアルミ地金に再回収され、残り約22万dがアルミドロス製錬業者に引き渡されている。処理業者はこのドロスから金属アルミ分を再回収したり、有価資源として鉄鋼用脱酸剤や脱硫促進剤などに再利用している。しかし、最終的には年間約10万dの残灰が産業廃棄物として管理型埋め立て地で処分されているという。
 最終廃棄のなかには不法投棄などによって、一部社会問題化したケースもあった。
 アルミドロスのJIS規格化は、再生利用による 産業廃棄物減容化の社会的ニーズに対応したもの。アルミドロスの再生利用の大半は鉄鋼製造時の工程において脱酸剤・脱硫剤、保温剤などとして利用されている。しかし、ドロスは目的生産物とは異なり、発生状況によって成分に大きな差異がああるなど品質が一定せず、再生利用するためには品質面で信頼性に欠けることもあった。
 このため、日本アルミニウム協会が日本鉄鋼連盟、その他の関連団体の協力を得て工業標準化を進めてきたもの。
 JISの原案によると、アルミドロスの種類はアルミの含有率70%以上から20%未満まで7種類に分けられ、さらに窒素化合物、塩素化合物等の不純物の許容量によって17区分に細分化されている。これによってアルミドロスの品質・成分がはっきりし、再利用・再資源化する場合に極めて利用しやすくなる。併せて、再生利用のための品質管理や工程管理の徹底の動機付けにもなり、他の分野への再生利用の波及効果も期待できる。
 アルミドロスの再生利用に関する標準化・規格化はアルミ先進国の欧米にも例がなく世界で初めて。



古河電工中間、55%経常減益
WDM・エレ関連が大幅落込み
 古河電工の2002年3月期単体中間は、売上高2,360億円(前年同期比8.9%減)、経常利益68億円(同54.5%減)、最終損失6,700万円(前年同期は162億円の利益)の大幅減益となった。WDM関連・エレクトロニクス関連の売上が前年同期比27%の落ち込みとなったことが主因。
 なお、軽金属製品売上高は543億円(同3.1%減)。内訳は板402億円(同0.2%減)、押出106億円(同13.4%減)、その他35億円(同1.7%減)。売上アルミ量は13万1,363d(同3.8%減)。
 通期計画は売上高4,760億円(前年度比13.4%減)、経常利益85億円(同78.3%減)。特別損益が114億円の赤字となることで最終損益は収支トントン(同447億円)となる。WDM・エレクトロニクス関連の売上は33%減の予想。
 業績悪化に対応して派遣社員を現状の2,300名から1,300名に削減する。正社員は前3月期末8,355名、今3月期末予定8,270名と意図的な削減は実施しない。また、設備投資は期初予定の680億円を17%削減、年間565億円とする。



日本建材産業協会
建材の取引慣行是正で要望書
会員の苦況打開を側面から支援

 建産協は7日、建設関連5団体に取引慣行是正に関する要望を申し入れた。長引く建設不況で会員各社の経営が最悪の事態を招いているとして、悪しき慣習の残る建材取引の正常化を求めたもの。この種の申し入れは1994年以来7年ぶり。

 日本建材産業協会(会長=瀬谷博道旭硝子会長)は経済産業省住宅産業窯業建材課の外郭団体で、各種の建材業界を横断的に結ぶ唯一の社団法人団体。要望書の内容は「建材各社は建設不況のなか
徹底した経営努力を重ねている。しかし、現行の建材商取引は不適正な取引慣行が行なわれており、それが一因となって建材各企業の経営は極めて深刻な状況下にある」とし、建設各団体においては「会員に取引慣行是正の周知徹底を図って欲しい」というもの。特に次の5項目の改善が急務という。
 @契約締結の推進とその実施=書面契約の推進並びに指値契約など不適切な取引条件の廃止
 A契約内容とその追加、変更などの適正化と明確化=追加、変更は当事者の協議に基づく契約にによるものとする
 B適正な発注とその透明性確保の推進=取引価格の透明性の確保、双方が合意した見積り価格に基づく適正な発注の推進
 C支払いに関する是正=検収後の値引き、支払いの繰延べ、労務費の手形払いの是正と前払い金支払いの促進
 D建材の発注や納入に付帯する諸費用の透明性確保=品質及び保証責任、建設現場などで発生する諸費用支払い条件の明確化の推進
 提出先は日本建設業団体連合会、全国建設業協会、建築業協会、日本土木工業協会、住宅生産団体連合会。要望書は同協会の岩田誠二専務理事がこれら5団体を訪問し、手渡した。



エルゴテック・TR建材が再生法
負債440億円、建設不況が直撃
 空調工事大手のエルゴテックは2日、東京地裁に民事再生法の適用を申請し、事実上倒産した。関連子会社のテイアール建材、トーヨコ理研三重工場も同日、民事再生法の適用を申し立てた。負債総額は約440億円。エルゴテックは日本サッシ協会の正会員、ティーアール建材は全国アルミ産業労働組合協議会の有力メンバーだった。
 建設市場の需要不振と競争激化で1998年3月期から連結ベースの赤字が続き、2002年3月期も好転が望めないため自主再建を断念した。同社は1998年1月、筆頭株主のトーヨコ建設が自己破産したため、清水建設が25%の株式を取得、同社主導で自主再建を進めていた。



トステム中間、27億円最終損
住宅不況と株価下落が深刻
 INAXトステム・ホールディングスが8日発表したトステムの中間決算は、売上高は前年同期比2.1%増となったが、営業、経常、最終の各損益とも赤字となった。住宅着工数の予想を上回る減少、価格競争の激化による市況低迷、株価下落による退職給付引当金の増額などが響いた。配当は7円の据置。
 こうした急激な業績悪化に対応し、同社は2001年度下期150億円、向う5年間に計700億円の利益改善策を実施する。同時にこれまでのシェア第一主義から利益優先の経営に転換する。



アルミ鍛造業界……本誌アンケート調査
車の足廻りなどで需要増期待
5000d級の大型プレス増設も

 自動車メーカーが軽量化に本格的な取り組みを見せ始めている中で、足廻り・エンジン廻りを中心としたアルミ鍛造部品に対する需要増にも期待が高まっている。5000dクラス以上の大型プレス増設の動きが出てくる公算もある。

 本誌編集部はこのほど、恒例の「アルミ鍛造品製造会社のアンケート調査」を実施した。
 アンケートの回答でこの1年間における各企業の設備・生産状況を見ると、大型プレスの増設こそなかったものの、足元の需要増や今後の受注拡大に対応した設備増強の動きが散見される。
 例えば、三洋工業は自由鍛造の大型受注品対応で、750dプレス1台を増設。能力は月350dと昨年と変わらないが、生産量は140dから170dに増加。昭和電工(ショウティック)も生産能力が前回の300dから500dへ、生産量が250dから400dに。東久も生産能力が700dから800dへ、生産量も600dから800dに増加している。
 今後の鍛造業界で大きな期待が掛けられているのが自動車軽量化に絡んだ足廻り・エンジン廻り部品などのアルミ化。各自動車メーカーに対する製品開発・試作など、量産に向けた活発な“売り込み合戦”が展開されており、受注体制の強化を図るために、大型プレスを含め設備増強を検討している企業も多い。神戸製鋼所は生産能力700d 、生産量が400d規模あるが、自動車用新規採用 部品の拡大で受注が順調に伸びており、2002年3月の稼働予定で6300dプレス1台を増設する。神鋼以外にも、熱間鍛造メーカーの間では5000dクラス以上の大型機を含むプレス増設の動きが強まってきそうである。
 さらに、海外生産拠点の設置も今後の検討課題となるようだ。今回のアンケート調査で三井工業、尾張精機、サンリット工業などが、「海外プロジェクトの予定あり」との回答を寄せたほか、埼玉プレス鍛造も検討中。ティエフオーは2005年をメドに、米国の鉄系鍛造部品生産拠点にアルミ鍛造工場の新設を計画している。



アルミ労協一時金要求57.6万円
リーダー不在、業績不振を反映
 全国アルミ産業労働組合協議会はこのほど、2001年年末一時金の統一要求と日程を明らかにした。それによると要求額は単純平均で57万6,032円、基準内賃金の2.14ヵ月、加重平均で59万4,468円、同2.22ヵ月となった。
 11月5日に要求提出、16日に中央幹事会、委員長会議を開催、「歯止め」を設定する。20〜23日を集中交渉ゾーン、26〜28日を集中解決ゾーンに設定、今月内の決着を目指す。今年末の一時金交渉はこれまで高額回答でリーダー的存在だったトステムも業績の低迷に見舞われ、大組合の昭和アルミ労組も、会社が昭和電工に吸収されるなど、リーダー不在の取り組みが避けられない。



東海ア箔が経常利益上方修正
「再建策」が計画上回る進捗
 東海アルミ箔の平成14年3月期単体中間は売上高は期初予想を1億7,600万円下回る67億2,400万円となるものの、経常利益は5,600万円と予想の100万円から大幅上方修正となった。工業材料を中心に需要が減少したが、加工箔の需要が堅調に推移。さらに、「再建3ヵ年計画」に基づくコスト削減策及び生産効率改善策が計画を上回るスピードで実現したため。ただ、株式市況の低迷に伴う投資有価証券の評価損などによる特別損失の発生で最終損失は8,300万円と当初見込みの2,500万円から拡大する。
 通期の予想は売上高136億円、経常利益7,500万円、当期純損失7,000万円。



立山アルミの単体中間決算
経常・最終とも16億円の欠損
 立山アルミニウム工業は9日、平成14年3月期業績見通しを下方修正した。それによると、単体中間期の経常損益は期初における3億7,000万円の利益予想から一転、16億円の赤字計上となる。1億円の黒字を見込んでいた最終損益も16億5,000万円の欠損となる。
 住宅着工の低迷で住宅建材関係の売上げが予想を大きく下回り、売上高は計画より27億円少ない539億円(前年同期比4.8%減)となる。さらに、取引先の経営破綻に対応した貸倒引当金の積み増しにより利益が大幅下方修正となった。
 通期での修正予想は売上高1,155億円、経常損失5億円、当期純損失6億円。



サッシ協副理事長に菊池トステム社長
 日本サッシ協会はこのほど開催した理事会で飛田英一副理事長(INAXトステム・ホールディングス副会長)の辞任を承認、後任に菊池光男トステム社長の就任を決めた。



製品協会副会長に加藤日本アルミ社長
 軽金属製品協会は10月2日開催の役員会で竹平和男副会長(三協化成代表会長)の辞任を承認、後任に日本アルミの加藤靖弘社長を選出した。去る8月、竹平氏が三協アルミ副会長を退任したことによる後任人事。


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