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NO.1609(2002年11月04日号)
アイジー工業
高断熱・耐火外壁材で中国輸出
金属外壁業界初、住商ルート活用


 アイジー工業はビル・工場外壁材「アイジーヴァンド」の中国向け販売を本格化する。同社の経営権を持つ住商ルートを活用、手始めに住商が中国に建設する鉄鋼コイルセンターの外壁への商談が進展中。国内の金属外壁企業の海外市場展開は初めて。

 これは去る6月、同社社長に就任した住商出身の金田直治氏が明らかにしたもの。住宅金属外壁最大手の同社は今年春に住商グループの傘下に入ったが、その理由の一つが「日本のアイジーから世界のアイジーへの飛躍」。その第一弾として中国市場に上陸する。
 具体的には住商が中国に建設するコイルセンターの外壁材に採用予定。住商は中国で大型の工場団地を造成し、中国への生産移転を計画中のIT関連や家電関連企業などに分譲を予定している。この工場団地分譲は既にインドネシアやベトナムで実績がある。これら中国進出の日系企業が建設する工場棟・事務所棟に幅広く高断熱・耐火構造の鉄骨建築用金属サンドイッチパネル「アイジーヴァンド」を供給するのが狙いで、コイルセンター外壁への利用はその呼び水。
 「中国は自然条件が厳しく、ITや家電等の高精密製品の製造工場は高気密・高断熱建築物が必要とされる。当社の金属外壁はそうしたニーズに合致するとともに意匠的にも優れる」という。
 「アイジーヴァンド」はフッ素樹脂塗装・ポリエステル塗装を施したガルバリウム鋼板で耐火性有機系フォームを挟み込んだサンドイッチパネル構造。パネル厚さは35_と50_、働き幅は600_と900_がある。パネルとパネルの接合はヒートブリッジを低減する嵌合式。ボルトレス構造で外観が美しく仕上がるほか、外装仕上げ・断熱工事・耐火防火工事・内装工事を一枚のパネル工事で仕上げられるので、建築工事のトータルコストダウンが可能。断熱効果が高いので空調エネルギーの低減、電気代節約でもメリットがある。



アルミ溶湯鍛造のエムエーファブテック
エンジン廻り活況、設備増強も
期間損益で念願の黒字化を実現

 三菱アルミグループのアルミ溶湯鍛造会社、エムエーファブテックはエンジン廻り部品の受注が順調に拡大。02年3月期は念願の期間損益黒字化を実現した。目下、生産設備はフル稼働で、来春以降溶湯鍛造機1基の増設も検討する。

 三菱アルミニウムの100%子会社でアルミ溶湯鍛造を手懸けるエムエーファブテック(東京都港区芝、秋山信泰社長、資本金1億円)はエンジン廻り部品の受注が好調に推移、2002年3月期は初めて、念願の期間損益黒字化を実現した。
 採用車種の拡大で、目下ほぼフル操業にあり生産能力不足をきたしている状況。このため、来春以降をメドに溶湯鍛造機(スクイズキャストマシン)1基の増設も検討している。
 三菱アルミは加工品分野の強化を狙って自動車分野をターゲットにアルミ鍛造分野に進出を決定。今里工場(静岡県裾野市今里)に熱間鍛造用1,000dフリクションプレスと500d竪型溶湯鍛造機(宇部興産製)各1基を導入して92年10月に量産を開始した。エンジンマウントブラケット、エンジンサポートブラケット、エンジンアクセサリーブラケットを相次いで受注。受注増に対応するため、98年8月に800d横型溶湯鍛造機(宇部興産製)、2000年10月に350d竪型溶湯鍛造機(同)各々1基を増設している。
 1999年3月には三菱アルミは不採算事業整理の一環として熱間鍛造分野から撤退して、溶湯鍛造による自動車分野向け部品に特化するとともに、今里工場の建屋・設備をエムエーファブテックに移管した。
 現在の主力製品はサポートブラケットなどエンジン廻り部品で、一部足廻り部品や車両搭載用熱交換機の配管部品なども手懸けている。主力のブラケット類は従来は鋳鋼品が主体であったが、軽量化効果が大きいことでアルミ化が進みつつあり、強度の高い溶湯鍛造品に切り替わりつつある。
 エムエーファブテックは溶湯鍛造上がりの寸法精度を大幅に向上させる技術を開発、加工工程の削減を実現している。このため、受注量は2001年度実績の月平均7万2,000個に対し、今年度上期7万9,000個、同下期見込み8万5,000個と増加。現在、土日も含めて4直3交代で24時間のほぼフル操業の状況。今後についても、03年度に月9万個、04年度で同10万個の受注を見込んでいる。このため、当面は既存設備の生産効率アップなどで対応するものの、来年春以降をメドに溶湯鍛造機1基の増設も検討している。
 同社は自動車向け部品に特化することで、2002年3月期には売上高8億円強で、期間損益も初めて経常黒字を計上した。2005年度には月10万個・1億円の販売とともに、マシン4基体制のフル稼働を狙う。



三菱アルミの今下期販売計画
前年比板11%増・押出30%増
 三菱アルミニウム(多田光男社長)はこのほど、平成14年度上半期の販売実績と下半期の計画を発表した。それによると、下期の月平均販売量は板・押出合計で1万4,750dと、前年度下期比13.1%増、今年度上期比1.9%減となる。
【板】今年度上半期の板(箔地を含む)販売量は1万3,029d/月で、前年度上期比5.2%増に。缶材のほか、国内一般向け、箔地は自動車、IT関連需要などの好調で計画を上回る伸びに。
 下期は1万2,600d(前年度下期比10.7%増/今年度上半期比3.3%減)の計画。缶材の好調持続を予想。国内一般も上期の回復持続で、前年度下期比、今年度上期比ともに3%増を計画。
【押出】今年度上半期実績は2,008d/月(前年度上期比10.0%増)。一般機械向けは減少したものの、自動車関連が好調に推移した。
 下期は2,150d(前年度下期比29.8%増/今年度上半期比7.1%増)の計画。自動車関係が引き続き堅調に推移することに加え、一般機械向けも回復を見込む。また、ビル関係で大型物件を予定していることも寄与する。
【箔】今年度上半期実績は2,018d/月(前年度上期比14.8%増)。国内では、包装材、容器・日用品向けがマイナスとなったものの、IT関連の復調がカバー。輸出も東南アジア向け回復で好調に推移した。
 下期は2,040d(前年度下期比5.9%増/今年度上期比1.1%増)の計画。国内は食品向け及び日用品・容器向けが需要期となるほか、IT関連分野も上期より減速するものの一定水準を維持すると期待。輸出は若干の減少を見込んでいる。



溶解・保持炉不要の成形機開発
小物Mg用に商品化へ、東芝機械
 東芝機械はこのほど、溶解・保持炉を必要としない環境調和型の「ワンショット溶解金属成形システム」を開発した(写真)。ダイカストマシンをベースに、スクリューフィーダー方式の計量装置と誘導加熱方式による溶解システムで構成される“ワンショット溶解給湯システム”を装備した金属成型システムで、製品1個分の材料を、その都度ワンショットごとに溶解して成形する。ダイカスト工場の作業環境の悪化要因である溶解作業をなくすことで、工場環境の改善、安全性の向上に加え、高い熱効率・生産性のシステムを構築することが可能。
 同社はこのシステムを11月7日〜9日にパシフィコ横浜で開催される「2002年日本ダイカスト会議・展示会」に参考出展するとともに、当面、携帯電話などの小物製品を生産する少量マグネシウム成形品として商品化を進める考え。
 ダイカストマシン工場には、炉から発生する熱・高温溶湯、スプレーの騒音、離型剤・潤滑剤から発生するミストなどの作業環境問題がある。東芝機械はこうした作業環境の改善に向けて、離型剤吹付けシステムの改良など、より高い環境調和型システムの構築を進めており、今回のワンショット溶解金属成形システムもその一環。
 従来、マグネシウム合金の成形で使用されているチクソモールドマシンやホットチャンバダイカストマシンと比較して、大幅な作業効率と環境改善を図ることができる。ベースマシンは電動型締めハイブリッドダイカストマシン(型締力1500kN)、給湯量は50〜150p3、溶湯温度は600〜780℃。溶解可能な金属は、アルミニウム合金、マグネシウム合金、亜鉛合金など。異種材料が同じシステムで生産可能な、汎用性の高いシステムとなっている。



神戸製鋼が大安工場見学会
年商130億、02年度から黒字転換
最新のアルミ鋳鍛・機械加工設備

 神鋼は17日、アルミ・銅カンパニーの戦略工場「大安工場」を記者団に公開した。6300dメカニカルプレス、8000d油圧プレスなど最新のアルミ鋳鍛設備と機械加工設備を保有、自動車・航空機部材、半導体・液晶製造装置などを月600〜700d生産。以下同工場首脳の話。

【大城英夫板・押出・鋳鍛事業担当執行役員】
 「当工場は名古屋工場のアルミ鋳鍛設備を移転、同時に各種の新鋭設備を導入し、1995年から操業を開始した。現有設備は@6,300d鍛造プレス3基によるメカニカルプレス鍛造部門A8,000d、5,000d、3,000d、1,500d各油圧プレスによる油圧鍛造部門B自社開発の高圧鋳造機5基、低圧鋳造基4基からなる金型鋳造部門Cアルミ・マグネ・ロストワックスの砂型鋳造部門D半導体用・液晶製造装置用真空チャンバーなどの機械加工部門−−の5部門が主力」
 「鍛造品については昨年8月、月産能力450dの鍛造品用鋳造棒の鋳造ラインが完成、素材から製品までの一貫生産体制が整った。同時に自動車足廻り品の需要増に対応、今年3月、6,300dメカニカル鍛造プレスを増設、3基体制とした。また、受注増の機械加工も各種のマシニングセンターを増設した」
 「年間出荷額は約130億円、内訳は鍛造品関連が70%強、鋳物・機械加工関連が30%弱。用途別では当初は防需関連、民間航空機用アルミ鋳鍛品が中心だったが、現在は自動車用部品30%、航空機用部品30%、IT・その他が20%。自動車用足廻り鍛造部品や真空チャンバーなど機械加工が好調に伸び、反面砂型鋳物は低調だ。当工場は最初の設備投資180億円の固定費負担が大きかったが、操業7年を過ぎようやく2002年度から黒字転換の見通しがついた」
【小池進大安工場長】
 「02年度上期は自動車用サスペンション部品の需要増などで前年同期比約10%増(個数比)ペースとなっている。生産量はアルミ地金ベースで月間600〜700d、マグネが同2d程度だ」
 「経営課題は今後とも需要増が予想される自動車部品、特に足廻り部品の増産対応、半導体・液晶用真空チャンバー・電極の加工能力の増強などだ。アルミ鋳鍛品は鉄とのコスト競争が一段と激しくなり、当然コストダウン努力は欠かせない」



軽圧品流通市況、横ばい基調
 全国軽金属商協会・市場調査委員会が行った9月末の軽圧品流通市況調査によると、東京、大阪、中部の各地区とも全品種が前月末比変わらずであった。地金価格が軟化基調にあるため製品市況への影響が懸念されたが、横ばいで推移した。
 自動車、IT絡みを中心に需要は好調で、メーカー生産量は比較的堅調に推移、板類、押出類とも受注残を抱えている現状だが、「多少足元に勢いがなくなっている傾向が見られる」という。



JAWA、PRビデオを完成披露
 ジャパン ライトアロイホイール アソシエイシヨン(電話03・5719・9177)は既報の通り、PRビデオ「安全と安心を運ぶアルミホイール」を作成、18日都内のホテルで報道関係者を招いて完成披露した。JWL、VIAで規定されている「半径方向負荷耐久試験」「回転曲げ疲労試験」「衝撃試験」を中心に主な製品材料等に関する試験9種類を加えて、計16分間にまとめた。会員会社に配布、アルミホイールの安全に対するユーザーの関心を高めていく。ビデオテープは1本1,500円、DVDは1枚3,000円で希望者にも頒布する。



アルミ新地金需給・市況予測‥‥丸紅・軽金属部
需要増で03年29万d過剰に改善
来年後半にLME1500j高値も

 米国・アジアが牽引する需要回復の一方、供給増は限定され、2003年は29万dの供給過剰と02年の64万dから縮小するなど、需給バランスはショートに向かう。相場は来年後半にかけて右肩上がりの回復となり、1500jの高値を予想。

 丸紅軽金属部地金課(安野荘一課長)は16日、「2002〜03年のアルミニウム新地金需給バランス見通し」を発表した。以下は予測のポイント。
1.世界の需給バランス
 2002年における西側新地金需要は3.8%増の1,986.1万dの予想。米国・アジアが回復に転じるが、欧州・日本は引き続き停滞。03年の需要は5.7%増の2,099.2万dを予想。日本は依然停滞するものの、米国・アジアの回復基調が持続するうえに、欧州も需要回復が予想される。
 この結果、西側需要に東側世界(東欧、CIS、 中国)の需要を加えた全世界の需要量は02年が2,497万d、03年が2,656.1万dの予想。東側は中国及びCISの需要増が続く。
 一方、02年における西側諸国の新地金供給量は1,755.9万d、前年比3.5%増の予想。米国北西部の電力価格高騰により休止していた製錬能力の再稼働約16万d、水不足によるブラジル休止製錬の再稼働約13万dのほか、世界各地の生産能力増がある。03年は米国北西部の休止設備再開約11万dの生産能力増で、4.7%増の1,838.5万dを見込む。この供給量に東側の需給バランス(02年294.5万d、03年289.5万d)を加えた西側供給は02年が2,050.4万d、03年が2,128万dと予測。東側供給量は02年は中国、ロシアなどの生産が増加、03年も中国の生産増加度は鈍化するも継続する。
 また、全世界の供給量は、02年が2,561.3万d、03年が2,684.9万dとなる。その結果、02年における世界の需給バランスは64.3万dの供給過剰と01年の58万dより過剰幅が拡大するが、03年は28.8万dに縮小する。
2.中国の生産量予測
 中国におけるアルミ製錬能力・生産量予測は、2002年:414.3万d(生産量389.4万d)、03年:445.1万d(422.8万d)、04年512.1万d(486.5万d)、05年583.8万d(554.6万d)、06年:611.2万d(580.6万d)−−と急激な拡大を予測。ただ、増加を妨げる要因としてアルミナ供給のタイト化などがある。中国でアルミナを生産しているのはChalcoのみで、国内製錬所の多くは輸入原料に頼っており、マーケットの状況次第ではアルミナ調達がネックになり増産が計画通り進まないことも起こりうる。
3.LME相場見通し
 2002年内:1,250〜1,400j、2003年前半:1,300〜1,450j、2003年後半:1,350〜1,500jを予測。需要回復の一方、電力コスト高が北米の製錬所再稼働の妨げになると予想されるほか、中国は1,300〜1,350jという価格レベルでの採算やアルミナ手当ての問題もあり、不透明な部分が多い。供給増は限定的であり、世界のアルミ需要の回復を考えると来年後半にかけて相場は回復基調と予測。


《週間トピックス》

◆4〜7月の特恵関税消化率49.8%
 今年4〜7月のアルミ製品特恵関税適用輸入実績は45億9,468万2,000円に達し、限度枠92億3,155万6,000円に対する消化率は49.8%となった。なお、平成13年度の特恵適用輸入実績は82億8,378万5,000円で、限度枠89億6,267万6,000円の消化率は92.4%。

◆「リークテスター特別講習会」
 ヤマハファインテックは本社(浜松市青野町)においてテクニカルスクール「リークテスター特別講習会」を開催する。対象者は、設計技術者、品質保証部門担当者、生産(製造)技術部門担当者、製造部門担当者など。
 内容は、@漏れとはA漏れ検査に関連する単位と換算法についてB漏れ基準設定(定性的、定量的)についてC代表的な漏れの検出方法についてDトレースガス法についてEヘリウムディテクターの仕組みFヘリウムリークテストシステムの体験確認(汎用システム、テスト装置による体験)。
 講師は同社の技術・教育スタッフ。受講料は1名1万円(テキスト代、昼食、消費税含む)。開講日は平成14年11月13日、12月11日、平成15年1月15日、2月12日、3月12日の各々午前9時から午後5時。問い合せ・申込みは電話053-467-3601まで。

◆大阪富士、Mg合金をネット販売
 大阪富士工業(兵庫県尼崎市、大島時彦社長)はこのほど、インターネット上でのマグネシウム合金の直販サイト「Mgスタジアム」を立ち上げた。マグネシウム合金を誰でも気軽に購入できるように、定尺品の切断により発生した端材を通常価格よりも安価に提供することを狙った。端材の有効活用を図るとともに、「試作用あるいは研究用に少量のマグネシウム合金を使いたい」、あるいは「小さな素材を少量入手したい」というユーザーの要求に応えるもの。
 材料区分、材質、サイズ、価格などの在庫リストの中から希望の材料を選択して購入を予約する。当面はブロック材の端材を対象とするが、将来はアングル材、薄板などにも範囲を拡大する。切断費が不要な分、通常のオーダー品に比べて半分以下の値段で提供可能としている。ヤマト運輸の代引き宅急便「クロネコヤマトコレクトサービス」により配送、商品配達時に代金を支払う。毎日12時にまで注文を確認した場合は当日、12時以降は翌営業日の出荷となる。なお、この「Mgスタジアム」は同社ホームページ(www.ofic.co.jp/mg/)からアクセスが可能。

◆新日軽「ビューバルコU」発売
 新日軽はこのほど、独自の排水構造によりデッキ面の防水性能を一段と向上させた、新バルコニーシリーズ「ビューバルコU」を新発売した。市場要望の高い、雨水の下階への水漏れ対策やデッキ面の排水処理の向上など、機能面を中心に充実させた。品揃えは柱なし式、柱建て式、屋根置き式の3種類。
 排水処理は、デッキにわずかな傾斜をつけることによりデッキ面にたまる雨水を左右の妻雨樋に速やかに集中させ一括排水する構造を採用。さらに、笠木はアルミ笠木の他、人気の木粉入り樹脂タイプの木調笠木も用意、夏の炎天下でも暑くなりにくく、冬の寒い日でも冷たさを感じにくくした。価格は「ビューバルコU」ウィングタイプ(間口:1.5間×出巾:3尺・関東間)で30万3,300円。初年度販売目標は1万2,000セット。


図・表・写真は本誌でご覧ください。