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NO.1720(2005年01月17日号)
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三恵工業所
硬質アルマイトの新工場が稼働
第8世代の液晶製造装置にも対応
三恵工業所はこのほど、最新鋭の硬質アルマイト処理ラインを増設した。第8世代の液晶パネル製造装置用部材の処理も可能な超大型設備で、韓国メーカーなどユーザーの大型化要請に応えて導入したもの。05年早々に第7世代向け部材の量産を開始する。
アルマイト処理の三恵工業所(東京都荒川区西日暮里、石川潔社長)が建設を進めていた液晶パネル製造装置用部材の硬質アルマイト専用処理工場がこのほど完成、本格稼働を開始した。第8世代までの製造装置用部材の処理が可能で、第5.5世代の液晶ガラス基板までしか対応できなかった既存設備に比べ、より大型の部材の処理を行う設備体制を整えた。05年早々にも韓国の液晶パネルメーカー向けに第7世代用部材の出荷を開始する。液晶パネルはガラス基板の大型化が進んでおり、大型部材の表面処理を求めるユーザーの要望に対応することで大型材需要を取り込む。
新処理ラインは草加工場(埼玉県草加市青柳)内に建屋を増設して導入した。04年8月に建屋が完成、試運転・調整を経て同10月から本格操業に入った。ラインは前処理槽8槽、電解槽2槽、後処理槽1槽で構成。各槽の大きさは長さ4000o×深さ3000o×幅1000o(電解槽のみ幅が1500o)で、第7世代(1870o×2200o)、第8世代(2200o×2600o)のガラス基板に対応する超大型設備。主にヒータープレート、コールドプレート、シャワーヘッドなどの液晶パネル製造装置用部材の表面処理を行う。
液晶パネルは今後普及が本格化する薄型テレビ向けの大画面化が進んでいることに加え、液晶パネル製作の効率化のため液晶ガラス基板もより大型化が進展。現在は1500o×1800oの第6世代が主流だが、ソニーと韓国サムスン電子の合弁会社「SS・LCD」は05年夏までに第7世代の一部量産に入る。シャープも06年稼働予定の亀山第二工場(三重県亀山市)に両辺が2000oを上回る第7.5世代ないしは第8世代液晶パネルの量産ラインを建設する予定。
三恵工業所は液晶製造装置関係の部材は3年ほど前からガラス基板サイズが1300o×1500oの第5.5世代対応の部材を処理、供給してきたが、第6世代、第7世代にも対応する、より大型の部材の処理に対する要望が強く、今回増設に踏み切った。「新ラインは第8世代対応の大型部材でも、50±2μmの範囲で均一な膜を形成可能なことが特徴」という。
三恵工業所は半導体製造装置関連を主体にしたアルマイト処理メーカー。本社工場では製造装置の消耗品部材のリユース(再生処理)をメーンに新規部材の処理も手がけており、300o径シリコンウエハー用半導体製造装置部材まで対応可能な設備を導入済み。
液晶製造装置関連でも設備の大型化対応と併せ、05年6月から、協力企業に委託して6061アルミ厚板材などを切削加工したうえで、表面処理を施した部材の販売を開始するなど、一層の事業拡大に取り組む。これにより同部門の売上構成比を3割とし、半導体製造装置用部品4割、一般産業機械用精密部品3割と並ぶ事業にする。
04年11月圧延品出荷、6.6%増
板7%増で過去最高、押出6%増
日本アルミニウム協会が発表した04年11月のアルミ圧延品生産・出荷速報によると、板類は生産が12万1,635d・前年同月比6.0%増、出荷が11万8,507d・同6.7%増となった。プラスは生産が15カ月連続、出荷も6カ月ぶりにマイナスとなった10月から1カ月でプラスに転じた。ともに11月としては過去最高となった。自動車向けが大きな伸びとなったほか、主力の缶材、電気、一般機械向けなどが堅調であった。
押出類は生産が9万4,990d・同5.2%増、出荷が9万4,209d・同6.4%増となった。ともに10月は11カ月ぶりに前年同月実績を下回ったが、再度プラスに復帰した。主力の建設、自動車、一般機械などが総じて堅調に推移した。
板類と押出類の合計では、生産が21万6,625d・同5.7%増、出荷が231万2,716d・同6.6%増で、ともに前月のマイナスから回復した。
一方、箔も生産が1万3,088d・同3.8%増、出荷が1万3,031d・同2.6%増を記録。ともに10月は5カ月ぶりのマイナスになったが、2カ月ぶりのプラス成長となった。
軽金属4団体が賀詞交歓会
野副会長「技術・品質で最先端を」
軽金属製品協会・軽金属商協会・日本アルミニウム協会・日本アルミニウム合金協会の軽金属4団体は5日、東京・芝の東京プリンスホテルで恒例の合同賀詞交歓会を開催、約450名が参加した。野副明邑日本アルミ協会会長(写真)は「04年は石油高騰、イラク戦争、多くの災害など多事多難な年だった。しかし、アルミ業界は缶材、自動車材、IT関連などに需要が旺盛で、多くの企業の収益が好転するなど総じて恵まれた年だった。05年も米国の景気変動、為替動向など不安要素もあるが、操業度アップなどからさらなる業績回復が期待される」と新年の抱負を述べた。
さらに「国際的に目を向けるとアルキャン社が圧延部門を分離、世界最大の圧延会社が誕生するなど注目すべき動きがある。私は昨年12月、中国・海南島で開催の国際アルミフォーラムに出席、中国のアルミ産業の熱気を肌で感じたが、04年における中国のアルミ需要は600万dを超えるなど今後も高成長が続く。そのなかでわが国のアルミ産業が競争していくには技術力と品質を高めることが大事だ。その両面で世界最先端のアルミ産業を目指していく」と続けた。
また、来賓に招かれた経済産業省製造産業局の塚本修次長は「国際競争力強化の観点からアルミ業界のアライアンスが進んでいるが、まだ道半ばと思う。これからも強力に推進することを望みたい。政府は技術力の強化に努め、ナノレベルの研究開発に取り組んでいるが、アルミ産業もこれを積極的に活用して欲しい。政府は05年度には『日本物作り表彰制度』を創設、これを後押ししていく」と挨拶した。
アーレスティの中国・広州工場
子会社拠点で金型製作を現地化
アーレスティ(高橋新社長)は、05年2月1日付で株式交換により完全子会社となる日本精密金型製作所(静岡県浜松市)が、中国・広州に全額出資で金型製作会社を設立すると発表した。
新会社は05年1月に広州市永和経済区に設置する。アーレスティは03年8月に中国・広州に100%子会社のアルミダイカスト生産拠点、広州阿雷斯提汽車配件有限公司を設立済みで、05年4月から現地の日系自動車メーカー向けに本格的な納入を開始する予定。これに伴って必要となる金型を日本精密金型が設立する中国子会社から調達する。併せて、現地のダイカストメーカーへの金型販売も視野に入れている。
同9月に設備設置を完了し、11月から生産を開始する。投資額は約7億円。従業員数は約30名。
四国化成の快適空間作品コンペ
シコク大賞に宇部市の多々良造園
四国化成工業はこのほど、04年快適空間作品コンテストの受賞者を発表した。同社の壁材・舗装材・エクステリアを活用し、自然との共生、街並み空間との調和、個性的なスペース作りなどで優秀な作品を表彰する。テーマ部門・住宅EX・景観EX・外装材・舗装材・内装材の6部門に全国から871点の応募があり、シコク大賞1点、最優秀賞2点、優秀賞7点、入選21点、計31作品が選ばれた。
シコク大賞は住宅EX部門から2年連続で多々良造園(山口県宇部市)が設計・施工した個人邸(写真)が受賞した。使用製品は「ブルーム門扉20型」「パレット」。ステンドグラスを現場で鋳物門扉に嵌め込んだり、現地の色石を塗り壁に採り入れるなど高いデザイン性が評価された。
新潟中越地震の住宅被害調査
SW工法全半壊ゼロ、トステム
トステムは新潟県中越地震における同社開発のスーパーウォール(SW)工法による住宅の被害状況調査を行った。
新潟県ではスーパーウォール住宅の累計販売実績は1,196棟。そのうち、震度6以上の激震に見舞われた長岡市、川口町、小千谷市、十日町地区には243棟が建設されており、その中で了解を得られた206棟について調査した。
その結果、住宅の全壊および半壊はゼロ。また、クロスのひび割れ、エアコン、サッシの脱落などを含む一部損壊は39棟であった。
不二が住宅向けバリアフリーサッシ
不二サッシはこのほど、既に発売済のビル用バリアフリーサッシ「フラットステージ」をベースに、住宅メーカー向け「フラットステージ・断熱タイプ=写真」を開発した。
同商品は、室内と屋外の床の段差を解消し、障子開放時に下枠のレール溝をステンレスフープで覆うことにより、清掃が面倒な下枠にゴミを入りにくくしたサッシ。さらに断熱性能を上げるため熱遮断構造を採用した。
05年度発売に向けて現在商品化を進めており、ハウスメーカー各社に営業展開していく。
フロント施工例コンテスト
トステムが応募作品を募集
トステムは「第17回全国フロント施工例コンテスト」の応募作品の募集を開始した。同社の店舗用建材を使用した施工例の中から優秀作品を表彰することを通じ、ストアフロントの設計・施工技術の向上と同社製品の普及を図ることを目的としたもの。
応募資格は設計事務所、建設会社、販売店、加工店で、04年2月から05年1月28日までにトステムのフロント製品を使用して施工し、施主への引き渡しが完了している物件。
デザイン性、加工・施工技術、建物との調和などをポイントに、第1次から第3次審査まで行う。グランプリ(全部門で1点、賞金20万円)の他、小規模店舗部門、大規模店舗・複合施設部門、オフィス・住宅・応用部門の各部門ごとに金賞(各部門で1点、賞金10万円)、銀賞(同2点、5万円)、銅賞(同2点、3万円)を決定する。表彰式は5月に開催する予定。
三菱アルミが執行役員制度導入
経営意思決定の迅速化・効率化
三菱アルミニウムは1月1日付で執行役員制度を導入した。取締役会の活性化による経営の意思決定の迅速化、経営と業務執行の分離による経営の効率化が狙い。
▽執行役員(取締役)東京支店長・多賀谷邦男▽同(同)総務部長・北川達▽同(同)富士製作所長・大原知彬▽同(同)押出事業部長・中澤富治▽同(同)技術部長・中山俊秋▽同(同)開発部長・当摩建。
昭和電工の人事異動
(1月4日付・本誌関連のみ)▽出向昭和電工エイチ・ディー(購買グループ)喜多村忍▽熱交換器事業部(無機材料事業企画部)杉本功▽出向昭和アルミニウム缶(アルミニウム事業企画部)斎藤良寿▽ショウティック事業部生産・技術統括部鍛造課長(同生産・技術統括部)三浦伸▽ショウティック事業部生産・技術統括部素材加工課長兼素材加工係長(同開発部兼生産・技術統括部素材加工課)永井滋一▽出向大洋昭和空調(大連)有限公司(熱交換器事業部生産・技術統括部)碓井正▽アルミニウム事業部門技術センターアルミ生産技術部(アルミニウム事業部門技術センター技術開発部)金山孝範。
神鋼アルミ・銅Co.の組織改正・人事異動
(1月1日付)【長府製造所の組織改正】▽「銅板製造部」を「銅板工場」に改称するとともに、銅板工場に製造所直属部門の「銅板研究室」および「品質保証室」の銅板部門を「銅板品質保証室」として同工場に移設▽「アルミ押出工場」を新設し、製造所直属部門の「アルミ押出研究室」および「品質保証室」のアルミ押出部門を「アルミ押出品質保証室」として同工場に移設。
【人事異動】▽長府製造所銅板工場長(銅板製造部長)杉下幸男▽同アルミ押出工場長(アルミ押出加工品製造担当部長)益田穣司▽企画管理部主任部員(企画管理部)田地野英也▽企画管理部付(大安工場北米工場建設室)長野良治▽原料部主任部員(原料部)徳村武文▽技術部技術企画室主任部員(技術部技術企画室)正田良治▽技術部基礎研究室主任研究員(技術部基礎研究室)福本幸司▽技術部基礎研究室主任研究員・藤沢(技術部基礎研究室・藤沢)松本剛▽アルミ板営業部主任部員(アルミ板営業部)石井伸明▽アルミ板営業部主任部員・大阪(アルミ板営業部・大阪)萩原英志▽同(同)重田卓麻▽真岡製造所総務部資材室主任部員(技術部生産技術室)山崎良二▽同技術部品質保証室主任部員(技術部生産技術室)高木秀人▽同(同)細野晋一郎▽同(同)前園俊一郎▽同アルミ板研究部主任研究員(アルミ板研究部)服部伸郎▽同(同)太田陽介▽同(同)徳田健二▽同製造部溶解室主任部員(製造部溶解室)高田昌行▽同製造部熱延室主任部員(製造部熱延室)梅川英知▽同製造部冷延精整室主任部員(製造部冷延精整室)黒田雅之▽同製造部設備室主任部員(製造部整備室)山崎保▽長府製造所設備室主任部員(設備室)岩本慎一▽同銅板工場銅板品質保証室長(品質保証室長)林貞雄▽同銅板工場銅板生産管理室長(銅板製造部銅板生産管理室長)米津伸保▽同銅板工場銅板技術室長(銅板製造部銅板技術室長)徳永宏基▽同銅板工場銅板技術室主任部員(銅板製造部銅板技術室)坂本浩▽同(同)井上洋一▽同銅板工場銅板研究室長(銅板研究室長)原利久▽同銅板工場銅溶解室長(銅板製造部銅溶解室長)宮崎光宏▽同銅板工場銅溶解室主任部員(銅板製造部銅溶解室)山中雅史▽同銅板工場第一製板室長(銅板製造部第一製板室長)磯野誠昭▽同銅板工場第二製板室長兼銅板生産管理室主任部員(銅板製造部第二製板室長兼銅板生産管理室主任部員)行壽啓之▽同アルミ押出工場アルミ押出品質保証室長(アルミ押出研究室長)相浦直▽同アルミ押出工場アルミ押出品質保証室主任部員(品質保証室主任部員)岩村宏▽同アルミ押出工場アルミ押出研究室長(アルミ押出研究室主任部員)山下浩之▽鋳鍛営業部主任部員(鋳鍛営業部)小林尚也▽同・大阪(同・大阪)福嶋勝則▽大安工場経理室主任部員(同経理室)門原英明▽同品質保証室主任部員(同品質保証室)鶴谷智之。
今週のレポート‥‥2005年期待の新製品・新技術
アルミは車・IT、建材は防犯対応
マグネは射出法による新成形技術も
本誌は恒例の「2004年の主な新製品・新技術」をまとめた。昨年1年間に本誌に記事として取り上げた新製品・新技術の中から有望なものをピックアップして一覧にしたが、これは「2005年期待の新製品・新技術」といえる。
アルミ圧延分野では、一昨年に引き続きIT・デジタル家電関連の新製品・新技術が目立った。昭和電工は高機能アルミ板材「ST60」に白色塗装を施して反射率を高めたLCD用反射板を発表。日軽金もIT機器外装用に高品質アルマイト保証アルミ板材を開発した。アルミ建築構造材分野でもSUSが主導する形で施工実績が増えたほか、日軽金グループは商品化を視野にオールアルミ製コテージを建設した。
今後の需要拡大が期待される自動車向けで話題をさらったのがホンダの新型「レジェンド」。アルミ部材を220sと多用することで従来素材・従来技術に比べ151sの大幅な軽量化を達成、「大量生産車用アルミニウム部品低コスト化技術の開発」により小山田記念賞を受賞した。新日鉄、古河スカイが新高温ブロー成形用アルミニウム合金板を開発したのをはじめ、ボディパネル材向けに日軽金、住軽金、神戸製鋼などが材料を供給。オールアルミ化を実現したサスペンション部品でも富山合金が開発した鍛造用連続鋳造小径棒「TG-bar」の採用、ティエフオーの鍛造技術、アーレスティ、リョービの高真空ダイカスト技術が適用されるなど、アルミ業界の最先端技術の粋を集めた。
その他、鋳造分野ではナノキャストが超微細結晶の半凝固スラリーを低価格・小型の装置で製造可能にする技術を実用化。光生アルミもスクイズ法を凌ぐ軽量・高強度の高品質鋳物部品を低コストで生産可能な新製法を開発した。
一方、マグネシウム分野では日本金属、三菱製鋼、日本クロス圧延などが圧延法による箔材を量産化、応用分野としてスピーカー振動板の商品化が相次いで発表された。
加工技術の分野でも、神戸製鋼が射出成形の新製法・新装置を開発。日立金属MPFは袋形状の筐体を一体成形する射出成形法、産総研、エスイピ、名機製作所は製品歩留り90%以上を実現する「ランナレス射出成形法」を実用化した。三菱アルミは自動車用耐熱マグネシウム合金の本格的な事業化に着手。また、三協アルミ、住友電工、日本製鋼所、大同特殊鋼の4社連携によるSF6フリーの高機能マグネシウム合金・加工技術の開発プロジェクトもスタートした。
建材業界ではこれまでと同様に、防犯対策・操作性などの機能面、デザイン面の付加価値を高めた新商品が相次いだ。とくに、団塊ジュニア世代が好む「シンプル&モダン住宅」をターゲットにしたエクステリア製品が大きなトレンドになった。また、官民合同会議が「防犯性能の高い建物部品目録」を定めたことを受けて、「防犯配慮商品」の発表も目白押し。住宅用サッシの基本仕様をプラットフォーム化、機能を高めながらもコストを抑える動きも顕著になってきた。
図・表・写真は本誌でご覧ください。
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