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NO.1830(2007年3月26日号)
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古河アルフレックス
企業再生ファンドに全事業譲渡
「潟tルチュウ」として早期再生へ
ダイカスト中堅の古河アルフレックス(川崎市、桐島一郎社長)は企業再生ファンドの日本みらいキャピタル(東京都港区、安嶋明社長)に全事業を譲渡する。「潟tルチュウ」として新たにスタート、債務超過に陥った事業の早期再生を目指す。
古河アルフレックスは5日、臨時株主総会を開催、事業並びに事業に係わる全資産を3月30日付で、日本みらいキャピタルが運営する企業再生ファンドの子会社(新会社「フルチュウ」)に譲渡することを決定した。06年3月期決算で15億円を超える債務超過に陥ったのを受けて、6月には桐島社長以下、経営陣を一新、自力再建を目指してきたが、主要金融機関5社に対する借入金も67億円を上回るなど、自力再建が困難なため、外部スポンサーの支援を受けて事業再生を図ることにしたもの。
両社の合意内容によると、みらいキャピタルは新会社「株式会社フルチュウ」を設立。ファンドを通じて資本注入を行なったうえで、古河アルフレックスから事業及び事業に係わる全資産を引き継ぎ、3月31日から事業を開始する。事業譲渡後の古河アルフレックスは年内をメドに特別清算となる。譲渡金額及び新会社の資本金等は現時点では非公表としている。
古河アルフレックスは、@全事業が継承され、ユーザーへの供給責任を果たすことが可能、A現状の雇用条件で全従業員(昨年4月末時点で正社員216名)の雇用が確保される、B金融機関に対する借入金の弁済の極大化が見込める−−など、みらいキャピタルの事業譲渡スキームが早期の事業再生に最適と判断、同社の事業買収提案を受け入れることにした。
「フルチュウ」の役員構成や組織編成等の詳細は現在協議中だが、子会社の喜多方軽金属を含む全従業員の雇用はすべて継承する。また、経営陣は桐島一郎社長以下、現体制を基本的に引き継ぐが、財務担当及び営業担当役員はみらいキャピタルから派遣される。
砂型・金型鋳造の喜多方軽金属(福島県喜多方市)は資本金1億2,000万円、古河アルフレックス70%、昭和電工30%の出資比率だが、古河アルフレックスの出資分は「フルチュウ」に譲渡される。
古河アルフレックスは資本金3億5,200万円、発行済株式総数704万株。株主数は203名で、上位9名(個人・法人)で50%強を占める。筆頭株主は古河スカイ(出資比率18.30%)。上位9名を含め株主比率で74.9%の同意を得た。
みらいキャピタルは政府系金融機関である日本政策投資銀行が約2割を出資しており、事業再生ファンドへの出資案件第1号。事業再生という政府の政策意向を踏まえて活動しており、ファンド自体にも出資している。金融機関からも「ベストのスポンサー」との賛同を得たという。
古河アルフレックスは2005年の工場移転に伴う生産現場の混乱やアルミ地金価格高騰の影響で06年3月期決算は売上高110.1億円(05年3月期111.8億円)、営業損失6.8億円(同1.2億円)、経常損失8.3億円(同2.1億円)、当期純損失23.4億円を計上。15.4億円の債務超過に陥っていた。
07年3月期は新規受注品が量産体制に入ったことで売上高が期初計画の140億円を上回る150億円台に達する見込み。営業損益、経常損益ともに黒字転換するとみている。
みらいキャピタルは3年ないし5年内を目標に事業再生にメドを付ける。最終的には、株式上場も視野に入れ、企業価値の向上という観点から主要ユーザーに配慮した最適な形でのファンド引き上げを検討する。
神鋼の米アルミ鍛造サス子会社
4号プレス増設、月産28万本へ
神戸製鋼所は12日、米国の自動車サスペンション用アルミ鍛造部品の生産拠点、コウベ・アルミナム・オートモーティブ・プロダクツ(KAAP、ケンタッキー州、藤井拓己社長)が4基目の6300dメカニカル鍛造プレスを増設すると発表した。08年4月から稼働を開始する予定で、生産能力は月間28万本と現行の21万本から3割引き上げられる。投資額はプレス本体のほか、付帯設備を含め約1,400万米j(約16億円)。
KAAPは03年5月に設立し、05年6月から月間3万本で生産を立ち上げた。06年4月に2号プレス、同12月には3号プレスを相次いで増設するなど順調に生産を拡大。足元の生産量は月19万本だが、既に受注が確定している製品だけで08年前半には現有設備のフル稼働が見込まれている。それ以降も日系メーカーを中心に新規車種のアルミ化が検討されており、将来の需要増が期待されるため、4号プレスの増設を決定した。
なお、KAAPは資本金2,400万米jで、神鋼60%、三井物産25%、豊田通商15%の出資比率。06年売上げ実績は約3,000万j(約35億円)で、07年は約7,000万j(約81億円)を見込んでいる。
三協立山HD、マテ事業分社化
タテヤマアドバンスも子会社
三協・立山ホールディングス(要明英雄社長)は13日、かねて計画の通り、グループ企業価値の向上を図るため、6月1日付で三協立山アルミのマテリアル事業を会社分割により「三協マテリアル株式会社」として子会社化。併せて、三協立山アルミの子会社で、商業施設事業を行なう「タテヤマアドバンス株式会社」を三協・立山HDの直接子会社にすると発表した。
マテリアル事業の分社化は、独自の経営戦略と高い専門性の発揮による事業の拡大と発展を目指したもの。製販一体化した企業経営による効率化と、分社化による非建材事業の業績や投資効果を市場に明確に示し、企業価値の向上につなげることを狙う。
また、タテヤマアドバンスを三協立山HDの直接の子会社とすることで、同社主体で経営管理を実施。グループの経営資源の効率的な配分と事業構造の最適化を図る。
三協マテリアルの概要 @分社の対象:三協立山アルミの「マテリアル事業本部」「マグネシウム事業推進室技術部門の一部」と、STプロダクツの「石川工場・新湊東工場・高岡西工場」、「形材本部・購買本部・技術本部・建材本部の間接部門の一部」、三協立山アルミ及び三協立山HDの「総務・人事・経理・財務の各担当」A事業内容:アルミニウム及びマグネシウムの押出・加工並びに販売B所在地:本社=東京都渋谷区元代々木町30-13日交元代々木ビル8階、高岡本社=富山県高岡市北島851C資本金:4億5,000万円D売上高:約440億円(08年5月期予想)E従業員:約670名
【役員人事】(6月1日)社長(三協立山アルミ取締役常務執行役員マテリアル事業本部長)藤木正和▽取締役(三協立山アルミマテリアル事業本部マテリアル企画部長)蒲原彰三▽非常勤取締役、川村人志三協立山アルミ社長▽同、駒方米弘三協立山HD常務取締役経営企画統括室長▽同、沖田敏雄富山合金社長▽監査役(三協立山アルミ監査役)深川務。
タテヤマアドバンスの概要 @事業内容:アルミニウム、ステンレス・スチール、合成樹脂製の店舗用陳列機器類の製造販売、屋内外広告看板の製造販売A設立:昭和27年5月B本社:東京都中央区日本橋浜町2-9-5C社長:網谷英三D資本金:4億9,000万円E売上高:約300億円(07年3月期予想)F従業員:約490名。
YKK APが5〜10%値上げへ
金属外装建材・木質内装建材
YKK APは13日、金属系外装材と木質インテリア建材の価格改定を実施すると発表した。4月2日出荷分から部材標準販売価格を引き上げる。値上げ幅はアルミ・スチールサイディング(本体、付属部材、部品)が平均10%、床材が坪当たり3,000〜5,000円。ドア、造作材、階段・手摺など、床材を除いた木質インテリア建材は全商品を対象に5%値上げする。
原油高や、金属材料、木質材料、樹脂材料など原材料の高騰には徹底したコストダウンと合理化などによる原価低減、新商品投入による高付加価値化を進めてきたが、「現状の価格水準は自助努力で対応できる限界を超える状況になっている」としている。
大紀ア、1部指定で2円記念配
大紀アルミニウム工業所は8日、07年3月期の期末配当を従来予想の1株当たり6円から2円増配して8円にすると発表した。同社株式が東証・大証一部指定替えとなったことに伴う記念配当を実施するもの。年間配当金は中間配当6円と合わせて14円(前期は9円)となる。
TOEXがアルミ製多目的ガレージ
団塊世代に的、3年後250台・3億円
TOEX(東洋エクステリア)は7日、リビングルームのような内装や開口部を備えた多目的ガレージを開発、4月から全国発売すると発表した。折戸パネルやシャッター、ポリカーボネート板の透光屋根などをオプションで用意して居住性を高め、従来のガレージのイメージを一新した。商品名は「スタイルコート」で、07年春の新商品の中核商品に位置付ける。
販売目標は初年度120〜130台・1億5,000万円、3年後250台・3億円を見込む。同社が単独製品について記者発表を行なうのは、04年7月の「私が創る自然浴シリーズ『スカイエール』」以来。長廻悟執行役員企画管理部長は「工業用製品のガレージは鋼板製が大半でやや暗いイメージが強かった。アウトドアリビングを提唱する当社は、そのガレージを生活や趣味を楽しむ空間に置き換えていく」と意欲を述べた。
基本構造はアルミ形材で構成する大型のボックス。サイズは最小間口2,800o・奥行5,400oから最大間口6,300o・奥行7,400oまでの7種があり、用途に応じて使い分ける。デザインは一般形材とアクセント用のラッピング形材がある。最大サイズのアルミ形材使用量は450sで、形材断面形状は約40種という。
ボックスには電動シャッター・折戸パネル・換気扇・網戸付き上げ下げ窓を標準装備。また、オプションで棚板・カウンターテーブル・内装パネル・シンク・作業台・ワイヤレススピーカー・各種ライトなどを用意、居住性を高めた。
価格は写真の38-60タイプ(上げ下げ窓・棚・内装パネル・ペフ付き屋根材・換気扇付き)で241万5,420円。
三和がおサイフケータイ対応で
携帯電話でドアの鍵を開け閉め
三和シヤッター工業は4月から、ソニーが開発した非接触ICカードチップ対応の携帯電話「おサイフケータイ」をカギとして使えるマンションドアを発売する。
電気錠システム「エントリーロック」を使用、携帯電話を玄関ドアの読み取り部にかざすだけでドアの施解錠が可能。所定のサイトからカギデータ(キーID)をダウンロードしてシステム登録すれば鍵として利用できる。携帯電話を紛失した場合は、即座に鍵としての機能を無効にすることができる。ICカードでの利用も可能で、携帯電話とICカードは合計20個まで登録することができる。
トステムがテラス囲いの新製品
トステムはこのほど、テラス囲い「ほせるんですU」を新発売した。従来商品「ほせるんですα」をバージョンアップ、木造のほか、鉄筋コンクリート、軽量鉄骨、スパンサイディング貼り住宅にも対応させた。また、室内と段差のない「床納まり」タイプと、靴を履いたまま出入りできる「土間納まり」タイプ両者のメリットを併せ持つ「土間・床複合納まり」をラインナップに追加。「造り付けバルコニー納まり」には前面開口タイプ(高窓折戸)を用意し、バルコニーに布団などを干すことができるようにした。
価格は写真の「土間・床複合納まり」で66万9,200円。
「CO2ダイエット宣言」団体参加
1051人で107.8d削減、トステム
トステムは、「CO2ダイエット宣言実行委員会」が推進する「CO2ダイエット宣言 '06冬」に団体参加し、関連企業含む従業員1,051人が応募した。参加者の宣言で減らせるCO2量は3カ月で10万7,842kg。これは杉の木7,703本が1年間で吸収するCO2量とほぼ同じという。
この運動は、家庭で手軽に取り組める15項目の省エネ行動の中から、参加者が取り組むものを宣言、実践することでCO2の少ない暮らしをサポートするもの。東京電力の呼びかけに賛同した団体・企業を中心とした「委員会」が推進しており、トステムは実行委員会メンバーを務める。
参加者20人ごとに、学校などへの植林を目的として苗木1本が贈られる。トステムは苗木52本が寄贈されており、植林に協力する公共施設を公募している。応募は同社ホームページで。
日軽金がHPをリニューアル
高純度アルミ専用サイト開発
日本軽金属はこのほど、同社ウェブサイト(http://www.nikkeikin.co.jp)を全面リニューアル、併せて高純度アルミニウムに関する専用サイト「High-purity Aluminum〜アルミニウム本来のちから」を開設した。
今回のリニューアルでは、財務情報、株式・社債情報、よくある質問など株主・投資家向け情報を中心に掲載情報を拡充。グループの事業概要やコーポレートガバナンス、環境マネジメント体制などを新たに追加した。
高純度アルミ専用ページでは各種の高純度アルミ素材および加工製品をラインナップ、製造方法や特徴、利用分野などを紹介している。
茨城県のマグネ連携体企業
技術開発・成果報告会開催
茨城県がマグネシウム加工の拠点作りとして推進している「茨城マグネシウム・プロジェクト事業」は3月28日(水)午後2時〜6時30分、ホテルレイクビュー水戸で「平成18年報告会−−第2ステージへの挑戦」を開催する。
内容は、▽事業概要(茨城県工業技術センター長藤沼良夫)▽発注企業の動向と対応策(マグネシウム企業連携体支援プロデューサー樋口修/河合彰)▽研究成果報告:Mg切削粉のリサイクルによる板製造技術の開発(産業技術総合研究所松崎邦男チームリーダー)/マグネシウム超塑性研究開発(茨城大学伊藤吾朗教授)/マグネシウム成形性評価研究開発(日本大学菅又信教授)/サーボプレス機を用いたマグネシウム成形(茨城工技センター小松崎和久)/連続曲げによるマグネシウム合金の結晶微細化(茨城工技センター行武栄太郎)▽企業活動成果報告(司会=宮本製作所宮本隆社長):清原実業(切削、ラジコン部品)/RSワタナベ(鋳造、タイヤホイール)/砂押精工(プレス、めがねケース)/前島工業(溶接、薄板接合)/ダイイチ・ファブ・テック(板金、梯子)/菊池精機(切削、電力機器部品)/サンキャスト(ダイカスト、携帯端末機器筐体)/山野井精機(プレス、温間成形用金型)/小峰製作所(板金、携帯式スロープ)/太洋工業(板金、車両関連品)▽マグネ加工品およびパネル展示▽懇親会(5時30分から1時間、会費3,000円)。
問合せ・申込みは茨城県工業技術センターまで(電話029-293-7212)。
三協立山アルミが応募作品募集
エクステリア施工例コンテスト
三協立山アルミはこのほど、「'07エクステリア施工コンテスト」を開催することになり、現在同社商品を使用した施工例の募集を行っている。同コンテストは、快適な住空間を提供するための提案力・施工力の向上を目的に、全国の販工店を対象に毎年行っているもので、今年で24回目。
対象は@M.シェードAファサードBリフォームCガーデンエクステリアDウォールエクステリアEパブリックエクステリア−−の6部門。各部門1点の金賞を始め、計48点の入賞作品を選ぶ。応募締切りは4月20日。詳細は同社ホームページ(www.exteriorworld.jp/)で。
建材試験セが新JISセミナー
(財)建材試験センターは4月24日午後1時〜5時、新大阪丸ビル新館(大阪市東淀川区)でセミナー「新JIS制度に伴う設計業務の変化及び影響」を開催する。内容は、▽新JISマーク表示制度の概要(経産省産業技術環境局認証課)▽規格・基準の作成と製品認証の仕組み(建材試験センター)▽新JIS制度と工事発注者の対応(UR都市機構)▽新JIS制度に対応した建築設計業務のあるべき対応(ファインコラボレート研究所)。
受講料は会員8,000円、一般1万円。問合せ・申込みは電話03-3664-9213。
神鋼アルミ・銅Co.の役員人事
(4月1日)専務執行役員(常務執行役員)銅板事業、鋳鍛事業、技術開発の担当、大城英夫▽常務執行役員(執行役員)押出事業、プレジデント特命事項の担当、長井生一▽理事、畑中孝一真岡製造所副所長兼同真岡製造所製造部長。
文化シヤッターの人事異動
(4月1日)代表取締役社長執行役員(代表取締役社長)茂木哲哉▽取締役専務執行役員営業担当(常務取締役営業担当)福田信夫▽取締役常務執行役員関西支社長(取締役中部支社長)加賀嘉宏▽同製造・開発担当(取締役マーケティング部長)八木利典▽取締役上席執行役員CSR統括部長(取締役製造・開発担当)伊藤士郎▽常務取締役顧問、6月下旬退任(常務取締役業務担当)高橋淳祐▽取締役顧問、6月下旬退任(取締役特需開拓部長)根来俊▽同、6月下旬退任(取締役営業推進部長)内野勝弘▽同、6月下旬退任(取締役関西支社長)西尾和彦▽営業推進部長(特販支社長)執行役員篠塚裕康▽北海道支社長(東北支社長)執行役員塚本澄雄▽秘書室長兼務を解く、執行役員経営企画部長竹下信之▽業務担当(人事部長)執行役員潮崎敏彦▽執行役員中部支社長(九州支社長)山下昇▽同小山工場長(小山工場長)小野丈夫▽同関越支社長(関越支社長)加藤邦治▽同マーケティング部長(マーケティング部部長)阿部正広▽同特販支社長(北海道支社長)但野進。
昭和電工の大分ED管工場
押出から引抜まで一貫ライン
自動化でED管のモデル工場に
昭和電工はこのほど、大分石油化学コンビナート内に新設した感光ドラム基体用ED管生産ラインを報道陣に公開した。月産400万本。6番目の生産拠点だが、最新鋭の設備を導入、極限の生産効率を実現する「ED管のモデル工場」を目指している。
LBP(レーザービームプリンター)の主要部品であるED管はミクロン単位での表面平滑度や形状の精密性が要求される極めて加工度の高い製品。同社はED(押出・引抜)法という独自の製法により高品質とコストパフォーマンスを実現。国内3拠点(栃木県・小山と那須、滋賀県・彦根)と海外2拠点(米・オハイオ、中国・大連)の5拠点を持ち、大分ED管工場は6番目。生産能力は400万本で、06年9月に量産品納入を開始、認定試験を経て11月15日に竣工式を行い、本格生産がスタートした。大分工場の完成で月産能力は1,500万本と世界シェアの50%程度を占めるようになった。
15社が一体運営の大分コンビナート
ED管工場を設けた大分コンビナート(代表=佐藤栄一執行役員)は大分臨海工業地帯の2号埋立地に立地。敷地面積約170万uで、1968年から順次プラント立ち上げ、現在に至っている。昭和電工の他、関連会社など15社で構成。コンビナートの中心にナフサクラッカー、その周辺に合成樹脂など加工製品のプラントを配置した機能的なレイアウトとなっている。ユーティリティー・防災体制・公害対策などは一体運営されている。エチレン生産能力は67.2万d。
コンビナートのすぐそばに水深20m以上の航路描泊地があり、40万d級の巨大タンカーが入港できる天然の良港。日本のコンビナートでは初めて、9万d級のナフサ船専用シーバースも設置している。韓国・ソウル、中国・上海、東京までは約1,000qの距離圏にある。工業用水はコンビナートの中を流れる大野川から取水しており、水量は豊富で水不足により操業に影響が出たことはないという。
「間締め」でリードタイム極小化
ED管生産工場の正式名称は「大分ED1プラント」(責任者=鈴木昇OA機材製造部大分OA課課長)。フィルム事業の譲渡に伴い遊休化した建屋を改築するとともに、さらに押出機設置用に建屋を増築。敷地面積8,607u、建屋面積は4,684uで、このうち既存建屋が2,730u、増築分が1,954uとなっている。
主要設備は1800d押出機1基、引抜ライン1ライン(引抜機2台)、切断機2台、面取機4台、洗浄機1台、自動検査機6台で、すべて最新の設備。中国・大連は1800d押出機は新設だが、引抜機、検査機は小山から移設した設備。
既存工場と比較した大分工場の特徴は、押出機と引抜までの一貫ラインを目指して設計されている点。ED管の製造工程は押出→端部絞り→引抜→ロール矯正→切断→面取り→仕上げ洗浄→検査。切削加工なしに精密押出・引抜加工のみで高い寸法精度を出す。
従来は素管を長く押し出した後、切断してから引抜工程に送っていたが、大分工場の新ラインは押出しながらフライングシャー(走間切断機)で引抜に必要な長さに切って引抜ラインに直ちに送り込む。これにより、押出と同時に一気に表面が鏡面に変わるという。
新ラインでは、押出機と引抜ラインの間だけでなく、各装置間・装置内の搬送距離を短縮することで、設備やスペースの無駄をなくした製造ラインの「間締め」を実現。押出・引抜設備だけでラインの全長は従来に比べて半分程度の長さにコンパクト化しているという。これにより製品と治具との接触を極小化するとともに、仕掛品・リードタイムの極小化を図った。
また、LBP用ドラムは精密電子機器用部品でゴミを嫌うため、建屋の中を陽圧化し、ライン内へのゴミ・埃の侵入を防止するとともに、工程内でも切断時の切粉飛散を極小化するなどクリーンな製造工場を実現している。
設備投資額は約25億円。「既存建屋も内装に相当手を入れたうえに、空調設備や防爆の設備、海に近いことで塩害対策の設備なども設置した」(西出俊男執行役員押出・機能材事業部長=写真)という。
今年夏、フル生産体制に
生産品目は3000系合金を使った24Φと30Φの2種類のED管。ビレットは小山を中心に海外からも一部輸入している。現在の生産量は月300万本で、操業率は約75%。今年夏までには400万本のフル操業を目指す。自動検査機は既に7台目の設置スペースが用意されているが、「現有の6台での対応を検討している」(西出事業部長)。
従業員は24名で、月産150万本の能力を持つ中国・大連工場の140名と比べて少なく、自動化が進んでいることがうかがえる。現在は3班2直だが、4班2直の操業も検討している。24名のうち昭和電工の社員は2名のみで、残りは地元の請負企業がすべて行なう体制。昨年5月から設備据え付けと平行して教育訓練を実施、8月には班長以上の4名を大連に派遣して技術を習得させるなど、全作業を担当できるようにした。
「大分工場は極限の生産効率を実現するED管のモデル工場。他工場にはない新しい試みをいろいろと採り入れ、展開しており、性能面・コスト面で次世代のED管の開発につなげていきたい」(佐藤龍雄専務アルミニウム事業部門長)。
図・表・写真は本誌でご覧ください。
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