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NO.2078(2012年4月2日号)

住友電工と明電舎
アルミ多孔体を電極材料に使用
高出力電気二重層キャパシタ開発

住友電気工業と明電舎は住友電工のアルミニウム多孔体「アルミセルメット」を電極材料として使用する電気二重層キャパシタを共同開発すると発表した。EV、HEVなど自動車分野を主な市場として、2015年度の製品化を目指す。

 住友電工はニッケルやニッケルクロム合金の金属多孔体である「セルメット」を開発したのに続いて、「アルミセルメット」も製品化。「セルメット」は最大98%の大きな気孔率を有する特長があり、電池に使用する活物質の充填性・保持性、集電性が良いことから、最近ではハイブリッド自動車用ニッケル水素電池の正極集電体にも採用されている。
 「アルミセルメット」は大きな気孔率という特長に加え、比重がニッケルの約1/3と軽量で、電気抵抗率もニッケルの半分以下で高い導電性を有する。また、耐食性にも優れ、リチウムイオン二次電池など充放電電圧の高い二次電池や、キャパシタの集電体にも適用が可能。
 明電舎は06年に高電圧・大電流用途向けバイポーラ積層構造の電気二重層キャパシタを製品化。さらに、電気二重層キャパシタのより広範な分野への適用を狙って、性能向上のためのデバイスの開発や用途開発を積極的に進めてきた。
 同社と住友電工は、「アルミセルメット」の特長を活かし、電気二重層キャパシタの共同研究に11年から取り組んできた。このほど、集電体に「アルミセルメット」、活物質にカーボンナノチューブ、電解液に不燃性のイオン液体を適用することで、アルミ箔、活性炭、有機電解液を用いた従来の電気二重層キャパシタと比較し、体積エネルギー密度は約3.4倍、かつ広い温度範囲での作動および高い出力密度を実現したという。
 両社は、体積エネルギー密度を約5倍まで高めることを目標に今後も共同研究を継続。HEV、EVの加速時の動力アシストや減速時の電力回生など自動車分野を主たる市場と位置づけ、13年度のサンプル出荷、15年度の製品化を目指す。


2月の圧延品出荷、1.4%増
板類8%減、押出類15%増

 2012年2月のアルミ圧延品生産・出荷統計によると、板・押出の合計では生産が16万5,644d(前年同月比0.3%減)、出荷が17万370d(同1.4%増)となった。生産は12ヵ月連続でのマイナスだが、出荷は9ヵ月ぶりにプラスに転じた。
 板類は生産が9万2,558d(9.1%減)、出荷が9万5,296d(7.5%減)となった。ともにマイナスは9ヵ月連続。
 出荷の内訳では缶材が3万1,266d・7.7%減と7ヵ月連続で前年同月を下回った。ノンアルコールビールは好調であったが、寒波や大雪など天候不順によるビール系飲料の減少が響いた。因みに、2月のビール系飲料の出荷量は現行の統計を取り始めた92年以降で最低となった。一方、エコカー補助金制度復活などによる自動車生産の好調により(2月の新車販売台数は52万台、29.5%増)、自動車向けは1万2,742d・4.9%増と、2ヵ月連続のプラス。輸出は1万6,835d、5.2%減と13ヵ月連続のマイナスだが、タイの洪水の影響から順調に回復し、減少幅は1月の14.7%から縮小した。
 押出類は生産が7万3,086d(13.5%増)、出荷が7万5,074d(15.4%増)となった。プラスは生産が5ヵ月連続、出荷が7ヵ月連続。
 主力の建設向け出荷は4万8,126d、26.4%増。新設住宅着工戸数の回復やタイ洪水の影響による国内での代替生産などにより19ヵ月連続でプラスとなった。自動車も1万2,229d、7.9%増と7ヵ月連続で増加した。
箔出荷、24.8%減
 箔は生産が7,361d(23.9%減)、出荷が7,332d(24.8%減)となった。マイナスは生産が6ヵ月連続、出荷が5ヵ月連続。コンデンサー向け出荷は1,750d、48.6%減。コンデンサーメーカーの在庫調整、薄型テレビなど家電製品の販売減などにより、5ヵ月連続でマイナスを記録した。食料品も2,249d、14.2%減と、6ヵ月連続で前年同月を下回った。食品メーカーの在庫調整、飲料用の輸入品の増加などが響いた。


2012年度圧延品需要見通し
206万d・2.8%増、2年ぶり増
板類2.9%増、押出類2.7%増

 日本アルミニウム協会は3月28日、2011年度のアルミ圧延品(板類・押出類)需要見込みと12年度見通しを発表した。
 11年度の圧延品総需要は200.3万d、10年度比2.4%減の見込みで、マイナスは2年ぶり。過去最高である96年度の252.9万d比20.8%減の水準となる。内訳では板類が117.8万d、6.7%減、押出類は4.5%増の82.6万dを見込む。
 12年度は圧延品全体では11年度比2.8%増の206.0万dと予想している。内訳では板類が121.2万d(11年度比2.9%増)、押出類が84.8万d(2.7%増)。主要部門別の予測は次頁の通り。
【板類】11年度は缶材が10年度比横ばいの見込み。ビール系飲料の伸び悩みの一方、ノンアルコールビールが好調。自動車材は13万9,152d、2.8%減の見込み。震災直後に自動車生産が落ち込んだものの、サプライチェーンが急速に回復。電子機器向けはテレビ、パソコンなどデジタル家電の販売減で、40.7%の大幅減を見込む。
 12年度は缶材が3.1%減の予想。ノンアルコールビールは引き続き伸びるものの、ビール系飲料の需要減、缶材の薄肉化、輸入缶の増加などが響く。また、輸送用機械向け全体で11年度比15.1%増となる中で、自動車材は7.1%増の14万9,000dを予測。エコカー補助金制度復活による自動車の販売増を予想している。電子機器向けはデジタル家電の回復で15.7%増の予想。輸出は世界的な景気減速による需要減があるものの、震災、タイの洪水の影響から回復で10.2%増となる。
【押出類】11年度は自動車向けが13万815d、10年度比1.2%減。建設向けは11.8%増の見込み。12年度は自動車向けが2.5%増の13万4,130d、建設向けが2.1%増と予想している。
12年度の箔需要は1.3%増
 11年度の箔需要は10年度比9.2%減の11万dを見込む。電気機器向けは14.1%の2ケタ減。リチウムイオン電池向けなどは伸びているものの、コンデンサ向けが21.7%減の大幅減となる。
 12年度は1.3%増の11.1万dの予想。コンデンサ向けは在庫調整が完了し、下期以降は10年度レベルまで回復する。その他向けもリチウムイオン電池の需要増で5.1%増となる。


11年度製品総需要、401.8万d
3.1%増、車151.4万d・2.7%増

 アルミ関連7団体で構成するアルミニウム調査会は3月28日、2012年度のアルミニウム製品総需要見通しを発表した。
 11年度は10年度比0.4%減の389.9万dの見込み。過去最高である06年度の445.7万dに比べ12.5%減の水準にとどまる。鋳造品、ダイカストは10年度比それぞれ3.0%増、0.5%増となる。サプライチェーンの復旧により、自動車向けの需要が急速に回復した。輸入は10年度比12.7%増の見込み。中国・東南アジアからのアルミ圧延品およびアルミ製品の輸入が増加した。一方、輸出は13.6%減の見込み。震災、タイの洪水、世界的な景気減速による需要減が響いた。
 12年度の総需要は11年度比3.1%増の401.8万dを予想。400万d台は5年ぶり。予測の前提となる12年度の新設住宅着工戸数は前年度比1.5%増の84.4万戸、12暦年の自動車生産台数は前年比3.8%増の1,038万台としている。鋳造品・ダイカスト品の合計では135万d、11年度比2.1%増の予想。また、自動車向けが151万3,730d、2.7%増となる。


12年度Al二次合金・二次地金需要
150.8万d・1.7%増、2年ぶり増

 日本アルミニウム合金協会は3月23日、2011年度のアルミ二次合金地金・同二次地金需要見込みと12年度見通しを発表した。
 11年度の総需要は148万3,200d、前年度比0.7%減と2年ぶりのマイナス成長となる見込み。12年度は150万8,100d、11年度比1.7%増と、再度上向きに転じると予想した。
 11年度の鋳物・ダイカスト向け需要は116万8,400d、前年度比1.0%減の見込み。下期から自動車生産が堅調に推移したことで、主力のダイカスト向け需要は0.2%の微増となったものの、鋳物向けは4.6%減少した。
 12年度の鋳物・ダイカスト向け需要は119万1,700d、2.0%増の予想。欧州債務危機、為替・原油価格の動向などが懸念されるものの、東日本大震災からの回復やエコカー減税・補助金などによる自動車需要が喚起されることで四輪完成車生産が堅調に推移すると予想。圧延向け二次合金地金・二次地金需要については2.2%増を予想。圧延品需要では住宅関係の政策効果などにより建材向けの伸びを期待している。
 一方、鉄鋼・その他向け需要は国内粗鋼生産が前年度を下回ることから2.3%の減少を予想した。
 なお、12年度の鋳物・ダイカスト用アルミ一次合金地金需要は22万9,500d、前年度比0.7%増を予想している。


日軽金アクト55%出資で設立
中国・龍口市に自動車部品合弁

 日本軽金属は3月22日、100%子会社である日軽金アクト(清水幹雄社長)が中国において龍口市林合金汽車零部件有限公司(山東省龍口市、張培良社長)と合弁でトラック部品を含む自動車関連部品の製造・販売事業を設立し、中国当局から営業許可証が発行されたと発表した。資本金は4,600万人民元で、日軽金アクト55%、龍口市林合金45%の出資。董事長は蘇振佳山東林集団執行総裁、総経理は安達章日軽金アクト常務取締役がそれぞれ就任した。2012年5月から操業を開始する。
 日軽金アクトはすでに中国の深と上海で自動車向け加工製品事業を展開しているが、新たに華北、東北地域における自動車部品需要の高まりに対応する生産拠点として新会社を設立した。併せて、合弁会社はグループ企業である日本フルハーフ(神奈川県厚木市、上野晃嗣社長、日軽金66%、いすゞ自動車34%出資)が同じ林集団との合弁で設立したトレーラー製造販売の山東林福録好富汽車有限公司へのアルミ押出加工パーツユニットの供給も行う。
 これにより、日軽金グループは林集団とともに、中国における素材からアルミ加工品供給にいたる、一貫したサプライチェーンを構築することになる。


住軽金が開発
軽量高剛性アルミ合金板
剛性同等で鋼板比1/5に軽量化

 住友軽金属工業は3月28日、板材に特殊な凹凸形状を付与することで大幅に曲げ剛性を向上させた軽量高剛性アルミニウム合金板「SMART SHEET」を開発したと発表した。
 通常の平滑なアルミ合金板では鋼板比で約1/2の軽量化にとどまるものの、「SMART SHEET」を用いることにより、鋼板と比較して同等の曲げ剛性を有しながら、質量を1/5にまで軽量化することを可能にした。
 同板材は汎用の高剛性パネルの波板やエンボス板と異なり、特殊な凹凸形状を付与することで、曲げ剛性、捻り剛性、面剛性を改善。波板は曲げ剛性に異方性があり、波と並行方向では、元板の100倍超に向上するが、反対方向には向上せず、また捻り剛性も低い。また、異方性を改善したエンボス板は等方的な剛性向上効果が2〜3倍程度であるのに対し、「SMART SHEET」は、等方的に10倍超の剛性向上効果が得られるという。さらに、圧縮強度や曲げ強度も大幅に上がるため、強度部材やエネルギー吸収部材へ適用することも可能。サンドイッチパネルのコア材とすれば、パネル高さが比較的低い条件においてはハニカムパネルよりも優れた曲げ剛性が得られる。
 また、デザイン性の高い形状も含まれ、建築意匠パネル材へ適用することもでき、同社は数十種類の形状を意匠登録済み。意匠は金属板と合成樹脂板で登録しており,ライセンス契約などの活用により、自動車分野をはじめとした幅広い分野への展開を計画している。


三協・立山HD3事業子会社統合
新会社「三協立山梶vに、6月1日

 三協・立山ホールディングス(藤木正和社長=写真)は3月27日、完全子会社である三協立山アルミ、三協マテリアル、タテヤマアドバンスの3社が今年6月1日付での合併契約を締結したと発表した。三協立山アルミを存続会社とした吸収合併方式で行い、三協マテリアルとタテヤマアドバンスは消滅会社として解散する。なお、三協立山アルミは5月31日付で資本金を283億9,900万円から150億円に減資する予定。
 存続会社である三協立山アルミは合併後、「三協立山株式会社」に商号を変更する。本社は現三協立山アルミと同じ、富山県高岡市早川70番地に置き、社長には藤木正和氏が就任する。


Al協会開発賞に古河スとリョービ
奨励賞SNE・三協立山、技術賞住軽

 日本アルミニウム協会はこのほど、11年度の「協会賞」として、以下の通り開発賞2件、開発奨励賞2件、技術賞1件の受賞者を決定した。表彰式は5月25日、第32回通常総会時に行われる。
【開発賞】新幹線用アルミニウム製吸音パネル:古河スカイ/東日本旅客鉄道/川崎重工業▽砂中子を用いたダイカストの中空一体成形:リョービ
【開発奨励賞】アルミ合金製踏切信号機の開発:東邦電機工業/住軽日軽エンジニアリング▽アール型玄関ドアの開発:三協立山アルミ
【技術賞】LED電球用高放熱アルミヒートシンクの開発:住友軽金属工業/住軽テクノ恵那


LIXILとセコムが「くらしテル」
総合生活サービス「生活太助」開始

 LIXIL(藤森義明社長=写真・右端)とセコム(前田修司社長=同・左端)は3月28日、両社の出資により「株式会社くらしテル」を設立し、新たに総合生活サービス「生活太助(せいかつたすけ)」を4月から開始すると発表した。
 両社は昨年8月、生活者の家庭における「安全・安心」実現と住環境向上などに役立つサービスをワンストップで提供する「トータルライフパートナー事業」で業務提携を行うと発表していたが、今年1月にくらしテルを設立、4月から東京・名古屋・大阪の三大都市と政令指定都市から総合生活サービス「生活太助」を開始する。
 くらしテルの資本金は1億円で、セコムが60%、LIXILが40%を出資。代表取締役社長にはセコム出身の三澤敏宏氏(左から2番目)が、取締役副社長にはLIXIL出身の中島一彦氏(同3番目)が就任した。本社は東京都渋谷区神宮前1−5−1に置いた。
 「生活太助」はセコムとLIXILのノウハウを融合させることで、生活の中で生じる様々な困りごとに対応できるよう、@家事サポートA住まいのお手入れB家財のお手入れC突然のお困りごと!DECOサポートE地震対策サポートFシニアサポートG住まいのリフォーム─の幅広いサービスメニューを用意。
 利用者は「くらしテルコールセンター(電話0120-881-506)」に電話するだけで、コールセンターの担当者が最適なサービス内容とサービス提供会社「生活太助パートナー」を案内する。日程調整から支払いまではすべてくらしテルが窓口となって行う。
 くらしテルは、セコムがセキュリティ契約を結んでいる約77万7,000件の家庭を対象に展開してきた生活支援サービス「セコム・ホームサービス」のノウハウと、LIXILの建材・住宅設備ソリューションネットワークのノウハウを総合的に活用することでサービスの充実を図る。1年後にはサービス提供地域を全国に拡大する予定で、3年後にはサービス依頼件数2万3,000件、売上高200億円、経常利益率10〜20%の達成を目指す。


LIXILがリフォーム新営業戦略
FCとボランタリーチェーン再編

 LIXILは3月22日、現在全国で展開している住宅リフォームの2つのフランチャイズ(FC)と4つのボランタリーチェーン(VC)を再編し、新たにFCの「LIXILリフォームチェーン」を7月から、VCの「LIXILリフォームネット」を4月からスタートさせると発表した。
 「LIXILリフォームチェーン」は従来のFCである「トステムホームウェル」と「INAXリフォームLIFA」を再編するもので、「住まいプロホームウェル」と「住まいコンシェルLIFA」で構成。「住まいプロホームウェル」は「新築時の性能・機能を上回るリーズナブルな全面リフォーム」をコンセプトに、一級建築士など住まいのプロが、住まいのライフスタイに合わせたきめ細かい提案をしながら、全面リフォームのパッケージ商品「新築二世」を提供する。
 「住まいコンシェルLIFA」はLIXIL認定の専門員であるリフォームコンシェルジュがライフスタイルに合わせた最適な提案を行い、住まいと暮らしの質を向上させる満足度の高い「コトリフォーム」を提供する。
 一方、「LIXILリフォームネット」は従来の「トステムリフォームマジック」「INAXリフォームネットワーク」「TOEX自然浴deくらす」「サンウェーブリフォームショップR&D」を再編。加盟店向けに「水まわり」「窓まわり」「エクステリア」の分野で専門性をアピールできるマイスター制度をスタートし、ユーザーが安心してリフォームを依頼できるネットワークを構築する。
 スタート時の加盟店数は「リフォームチェーン」が410店(外売工事高480億円)、「リフォームネット」が9,400店。2015年度をメドに「リフォームチェーン」を600店舗、外売工事高を1,000億円、「リフォームネット」の加盟店数を1万店にそれぞれ拡大させる計画。


日本圧延の稲垣相談役、取締役退任

(2月24日)取締役副社長企画並びに営業管理担当、青木良治▽相談役(取締役名誉相談役)稲垣誠夫


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