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NO.2233(2015年9月21日号)
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14年度のアルミ板の企業別生産統計 UACJが68.4万d、シェア54.7% 輸出が伸長し神戸製鋼は2.2pアップ
14年度における国内のアルミ板生産は124.9万d、8.1%増と好調に推移した。懸念された消費税増税の反動減は比較的軽微で、主力の缶材・自動車材などが伸びた。企業別ではUACJが断然強いがシェアは0.9p低下。輸出が急増した神鋼がシェアアップした。
この調査は本誌及び「アルトピア」が毎年実施するアンケート調査によるもので、国内に生産拠点を保有するアルミ板大手・中堅9社を対象に実施。回答率・回
収率は各100%でカバー率と精度は高い。なお対象会社は12〜13年度まで10社だったが、13年10月にアルミ板上位2社の古河スカイと住友軽金属が
経営統合し、UACJが発足したため14年度は9社に1社減となった。 日本アルミ協会の統計によると14年度におけるアルミ板の国内総生産は
124万9,465dで、13年度115万6,112d比8.1%増と大きく伸びた。国内生産はリーマンショック後の10年度に8.0%増と回復したもの
のその後11年度6.8%減、12年度1.2%減、13年度0.6%減と3年連続減と低迷、14年度は4年ぶりプラスに転じた。14年度はアベノミクスに
よる緩やかな景気回復を背景に構成比の高い缶材がコーヒー缶のアルミ化の進展、高級乗用車の輸出増による自動車材の伸びなどで内需が堅調に推移。加えて圧
延各社の海外工場向け素条及び円安の定着による国際市場競争力の強化などにより輸出が30%超も伸び、それらが国内生産にも反映して8.1%増を記録し
た。 ちなみにアルミ板の国内生産能力は年間148万1,640dで、13年度148万1,340d比±%。その結果稼働率は
84.3%となり、13年度比6.3%も上昇した。稼働率は10年度87.7%と高水準のあと11年度78.1%、12年度78.0%、13年度
78.0%と3年連続70%台にあった。 調査対象の9社はいわゆる大手資本がUACJ、叶_戸製鋼所、三菱アルミ、日本軽金属、昭和電工の5
社、中堅企業が日本圧延工業、アカオアルミ、アルミネ、片木アルミニューム製作所の4社で、国内生産は他にない。13年度比で増産となったのはUACJ、
神戸製鋼、三菱アルミ、日本軽金属、日本圧延の5社、横這いが昭和電工1社、若干の減産がアカオアルミ、アルミネ、片木アルミの中堅企業3社。 14
年度の各社別生産実績とシェアは表の通りで、業界トップは新体制がスタートしたUACJ。生産量は68万3,857dで13年度比4.5%増加した。しか
し伸び率が業界平均に及ばなかったためシェアは55.6%から54.7%に0.9%p低下した。業界第1位と2位が経営統合しただけに国内生産では断然強
くリーダーカンパニーとしての地位は不動といってよい。 なおこの生産量はあくまで国内に限られたもので、グローバル展開するUACJグループ全
体の実力を示すものではない。即ち同社はアルミ板のグローバルメジャーを目指し、14年度もアルミ板約100万dを国際市場に出荷し、No.3の地位を確
保する。内外内訳は国内と海外が約1/2。海外市場向けは米国とタイに大型の一貫工場を持つ。 第2位は神戸製鋼で、生産量は29万3,900dとなり、13年度比19.9%増と飛躍的に伸びた。シェアも21.3%から23.5%に2.2pも急上昇。得意とする缶材と自動車材が内外ともに好調に推移するとともに、円安の定着などで缶材を中心とする輸出が急伸した。
第3位は三菱アルミの12万9,706dで1.7%増。シェアは11.0%から10.4%に0.6p低下した。第4位は日本軽金属の8万3,045dで
5.7%の増加。シェアは6.8%から6.6%に02p低下した。第5位は昭和電工の8,000dでほぼ横ばい。シェアは0.6%で0.1pの低下。以上
大手5社だけで見ると各社生産量を伸ばしたものの主力分野において神戸製鋼の増加が余りにも目覚ましく、同社1社に食われた形となった。 中堅の
日本圧延、アカオアルミ、アルミネ、片木アルミの4社はそれぞれ得意分野の市場の増減によって生産量が左右された。即ち連続鋳造圧延設備を持ち各種アルミ
容器やLIB用外装材などスラグ材の日本圧延は生産量を伸ばした。一方、サークルなどアルミ板加工の片木アルミ、1円硬貨のアカオアルミ、連続鋳造圧延板
のアルミネは微減となった。
丸紅がMBAl会議の概要速報 16年中心相場は1.5〜1.6千ドル 鍵は供給過剰と在庫高の解消時期
第30回メタルブリテンアルミ会議が15年9月21〜23日にカナダ・バンクーバーにおいて開催され約500名が出席した。前回は供給過剰によるLMEア
ルミ価格の急落・低迷、プレミアム急落をうけて全体的に重苦しい雰囲気の中で先行きを悲観的にみる向きが多かった。16年は供給過剰相場安が継続、需給改
善に向けた移行期間、17年から本格的な需給改善と相場回復が始まるとの明るい予想も多かった。 世界のアルミ需要は欧米中心にプラス成長を継
続、自動車・航空機分野を中心にポジティブな材料もあり、今後の相場の先行きは供給過剰と地金在庫高の解消がどの地域でトリガーとなりどのタイミングで行
なわれるかにある。以下、会議中に話題となったトピックスを挙げてみた(概要速報全文)。 需要は高機能材など好調
(1)アルミ需要:
総じて堅調な伸び。北米・欧州を中心に自動車・航空機・缶材向けの圧延が好調、住宅市場の回復、トラックなどの輸送機分野を中心に押出もプラス推移を見込
む。アジアの需要全体は堅調なものの、中国からの輸出により賄われるケースも見られ、各企業のセンチメントにはバラつきが見られるが、インド等の新興国需
要にて経済成長率を上回る伸びを示すなど、需要の先行きにおいては明るい材料が多い。 (2)アルミ供給: Hawseville(米)
減産に続く形で、北米での複数の不採算製錬所の減産が予想されており、供給不足が1百万d/年から2百万d/年規模に拡大する可能性あり。ネット輸入国で
かつ需要増・供給減が進む北米にて世界の余剰玉をどこまで吸収できるかがポイントとなる。一方でKitimat(カナダ)、Press
Metal(マレーシア)の増産、Boguchansky(ロシア)の新規生産開始により、600〜700千d/年の新規供給増をもたらし、足元の需給軟
化に拍車をかける可能性があり、2016年の各地域へのメタルフローが注目される。 (3)欧州・カナダ間のFTA締結: 2016年央から年末までのFTA締結の可能性が示唆、完了すればカナダから欧州・トルコへのフローが増加、北米へのフロー減となり、北米需給プレミアムサポート要因とみられる。 (4)資源国通貨安:
米ドル高、ロシア・カナダ・豪州他の現地通貨安に伴う生産コスト削減効果は大きく、特にVAPを生産する製錬では足元のLMEプラスプレミアムにて生産継
続、増産を進められる余地ありとみられる。但し、LME1500ドルを本格的に割り込んだ場合、現在のプレミアム水準だと採算割れとなる生産者が増えると
の見方が多く聞かれた。
中国の生産増は17年まで
(5)中国需給: アルミ需要はプラス6%前後に対して、
供給はプラス10〜13%と供給過剰が拡大。LMEプラスプレミアムvs
SHFEの値差縮小により、再溶解目的のP1020コイル・板の輸出は削減する一方、正式な半製品(Real
Semis)は輸出増の流れが継続する見込み。一方で地金輸出税廃止の可能性に関しては、政府の方策である付加価値品での輸出奨励策が前提であり、アルミ
地金の輸出税を廃止した場合の他商品・産業への配慮も求められる可能性が大きく、現実的ではないとの見方が大半。中国では新疆、山束、内モンゴル省という
石炭・電力が豊富な地域での生産増は2017年頃まで継続見込み、他競争力のない南部エリアでは採算割れからの減産が進むであろう。この調整が本格的に行
なわれるか否かが、中国域外の需給に影響をもたらす。 (6)LMEルール改定: LMEの追加ルール改定案に対するコンサルテーション
は、待機日数の長い倉庫での保管費用の改定、1日辺りの出庫数量変更に関してだが、導入予定日とした12月14日の90日前を過ぎており、前例に従うと先
週の時点では何らかの発表がされる可能性が高かったが、現時点では進展なし。倉庫会社・他からの反対意見が複数出ているものと想定、一部には導入への時間
を稼ぐべく訴訟に発展する可能性が指摘されているが、最終的には大きな変更には至らないだろうとのコメントが過半。 (7)スプレッド: Oct
-Novのスプレッドに関しては、相場急落時のファンドショートポジションと現物在庫見合いのショートポジションのスクイーズを一部金融機関が狙ったもの
ではないかとみられる。但しあまり目立った働きとなると、LMEからのレンディング規制等が入る可能性あり、更なるバックの拡大を見る向きは少なかった。 (8)在庫高水準:
現在の世界在庫水準はLME倉庫で3.2百d、その他港湾・商業倉庫での所謂オフワラント在庫は、少ない数字で5百万d、多い数字では10百万dと予想す
る向きがあった。需要量と比較した場合に、欧州・日本・韓国・ブラジルなどは在庫過多と見られており、倉庫会社からのインセンティブ(50〜70ドル)、
スプレッドのタイへのデリバリーが続くとみられる。 (9)資産圧縮・在庫売却の動き: LME・プレミアム急落を受けて、資産圧縮に向けた地金在庫売却、現金化の動きがみられるとのこと。一部地域でのプレミアム下落はそうした資産圧縮に向けた動きによる影響との話もあり。
対日プレミアム70〜100ドル
(10)コモディティへの投資サイクル: 現在のコモディティ向けの投資水準は過去10年でボトム、一方で株式相場の天井感や各商品の需給改善が進むと長期ファンドのコモディティに対する資金回帰の動きが予想され、短期筋CTAの買いと共に相場反転の動きが早まる可能性があるだろう。 (11)LME見通し(2016年): 2016
年LME見通しは1,400ドルから1,750ドルのレンジ(中心値予想:1,500〜1,600)。ダウンサイドリスクに関しては、世界景気低迷による
商品相場下落、ドル高資源国通貨安、増産に伴う供給過剰継続で下落余地ありとみられる。だが1,500ドルを本格的に割り込んだ際には、減産・閉鎖が本格
的に開始されるとの見方も強く、下値も限定的となるとの見方が多い。 (12)Premium見通し(2016年): 米国中西部:6.00〜9.00/lb 欧州 Duty Paid In-warehouse Rotterdam: $100〜150/d Duty Unpaid In-warehouse Rotterdam: $50〜100/d 日本 $70〜110/d
現在の倉庫会社からのインセンティブは50〜70ドル、ほぼ欧州Duty
Unpaidプレミアムはそのレベルまで下落、サポートレベルに近いとみられる。欧州からのメタルフローを考えた場合、北米プレミアムは150ドルがサ
ポートとなるとみられ、底固い推移を予想。日本・韓国は在庫高水準で2016年前半を絞る可能性が高く、70ドルレベルまでのダウンサイドリスクがあり、
在庫過多の解消時期がポイント。
YKK AP黒部製造所で稼働 アルミ素材製造の押出ライン棟
1,800d1基、生産性が約40%改善 YKK APは8月24日、国内アルミ素材製造の中核工場である黒部製造所の再構築計画の一環として、14年8月から建設を進めてきた押出ライン棟が完成し、同日竣工式を行ったと発表した。投資額は建屋・設備を含め約15億円。
新設の押出ラインは1,800d(7インチビレット)の押出プレス1基をはじめ最新設備・技術の導入により、品質・コスト競争力の強化を実現、従来ライン
比で約40%生産性を向上した。また環境面においても将来のLNGへの燃料転換を勘案した設備の導入、及び低電力照明・空調を採用、省エネ・環境負荷低減
に配慮した。 今回の押出ラインの更新をスタートとして主要生産設備の継続的な更新を行い、生産ラインの合理化・コンパクト化を図る。同時にイン
フラ基盤の整備・強化や構内物流の改善など黒部製造所の再構築を推進する。黒部製造所はアルミ素材の鋳造・押出・表面処理の設備を保有し、全世界のアルミ
素材製造の中核拠点として位置づけられる。 押出ライン棟の概要は建築面積約5,300u・延床面積約5,400uの鉄骨造り。生産品目はアルミ押出形材。瀬在敬・施工は第一建設。
15年8月末の軽圧品市況 値動きなし、弱含み推移
全国軽金属商協会は9月15日、8月末の軽圧品市況投票結果を発表した。東京・大阪とも6品種値動きはないが、先行きの需給緩和、新地金市況の先安感が想定され市場は弱含み推移となっている。
同協会市場調査渡辺一夫委員長は以下の通りコメントした 「10〜12月期のアルミ新地金対日プレミアム(割増金)交渉が始まっており、生産者側は前四半
期より約1割高い110ドル前後を提示している。ただ、国内需要がほぼ横ばいで推移して在庫も高止まりする中で、7月から9月期よりプレミアムが上昇する
だけの材料を欠いておりプレミアム100ドル中心に交渉が進むとみられる」
15年7月の圧延品生産出荷 板出荷4.4%増、缶材が好調
日本アルミ協会がこのほど発表した7月のアルミ圧延品生産は18万1,434dで前年同月比0.8%減となり5ヵ月連続マイナスとなった。内訳は板類11
万3,685dで2.1%増、17ヵ月連続プラス。押出類6万7,749dで5.3%減、10ヵ月連続でマイナスとなり明暗を分けた。 一方、出荷は板類11万6,995dで4.4%増、2ヵ月連続プラス。押出類6万7,973dで5.1%減、10ヵ月連続でマイナス。
分野別出荷実績は別表の通りで構成比36.7%と最大の缶材は4万2,948dで5.4%増と好調に推移した。ビール系飲料はマイナスだったがボトル缶の
好調な伸び及び一部コーヒー缶のアルミ化による需要増により4ヵ月連続でプラス。また、構成比11.8%の自動車用も4.0%増と伸びた。 国内
乗用車生産は減少しているがアルミパネルを採用する高級乗用車の輸出増に加えトラック架台の伸びにより2ヵ月連続プラス。さらに構成比18.0%の輸出も
2万1,002d、13.5%増。海外関連工場への素状輸出の増加や円安による輸出環境の好転により16ヵ月連続でプラスとなった。 一方、押出類は6月に新設住宅着工がプラスに転じたものの構成比60.2%を占める建設向けが不調で13ヵ月連続マイナス。自動車も国内乗用車生産の低迷でマイナスに転じた。
15年7月Al二次合金生産出荷 総出荷3.6%減と依然低水位
日本アルミ合金協会はこのほどアルミ二次地金・同合金地区別生産・出荷、品種別生産出荷及び産業部門別出荷をまとめた。それによると生産は7万229dで前年同月比3.6%減となり、年度初め以来の減産に歯止めはかからなかった。
一方、出荷は7万1,021dで同3.6%と低調に推移した。産業部門別出荷は別表の通りで主力のダイカストは3万9,900dで4.8%減、鋳物は1万
7,733dで3.7%減と自動車向けが低調だった。ちなみに、6月の国内乗用車生産台数は68万3,000台で前年同月比6.1%減と低調だった。 板向けはRSI(使用済みアルミ缶)の需要増により1.8%増。押出は建材需要の回復で再生ビレットの需要増が寄与して46.2%増伸びた。
15年7月のアルミ箔生産出荷 LIB向けは5.9%増と絶好調
日本アルミ協会がこのほど発表した15年7月のアルミ箔の生産は9,813dで前年同月比1.9%減とマイナスに転じた。出荷は9,486dで0.4%増と4ヵ月ぶりにプラスに転じた。
用途別出荷は次頁・表の通りで構成比26.9%と最大のコンデンサー向けは2,554dで7.0%減と低調だったが構成比21.1%のLIB向けは
2,003dで5.9%増と好調に推移した。また構成比25.9%の食料品は2,454dで4.0%減と低調だった。包装用の食料品の需要は弱含みで推移
する。
日軽金グループ、メタルジャパンに出展
日本軽金属グループは第2回関西高機能金属展(メタルジャパン)に出展するとともに、日本軽金属HDの岡本一郎社長が「アルミにこだわり、アルミを超えていく」と題して基調講演を行う。
同展は10月7日(水)〜9日(金)の10:00〜18:00(最終日〜17:00)、インテックス大阪で開催され、6号館B会場38-40において、日
本軽金属HD、日本軽金属、東洋アルミニウム、日軽エムシーアルミ、日軽金アクト、日軽形材、理研軽金属工業、日軽熱交の8社が共同で出展する。高強度、
耐摩耗性、耐熱性、成型加工性、表面機能性など、アルミの機能をめぐる最新イノベーションの数々を紹介する。 岡本社長による基調講演は、7日(水)13:00〜15:00に6号館A会場で行われる。
図・表・写真は本誌でご覧ください。
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