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NO.2240(2015年11月30日号)

日本アルミニウム協会調査
板類の生産は19ヵ月連続プラス
押出類は建設、自動車に連動

本年度上半期(4〜9月)の生産量は、板類が2年連続プラス、逆に押出類が4年ぶりにマイナスとなった。

 日本アルミニウム協会はこのほど、本年度上半期(2015年4〜9月)におけるアルミ圧延品の生産・出荷動向統計について発表した。
  それによると、「板類」の生産量は9月に110,050dで19ヵ月連続プラスとなり、上半期合計645,460dの高水準を記録した。一方、出荷量は9 月103,236d、上期合計638,956dで、4ヵ月ぶりにマイナスになったものの、総じて比較的高水準を維持した。
 出荷量の供給先分野は 缶材231,888d、自動車部品72,997d、輸出113,937dであり、缶材の分野ではボトル缶の好調及び一部コーヒー缶のアルミ化による需要増 が見られた。ビール系飲料の出荷量は前年同期比2.0%の微増に留まった。自動車分野では、アルミパネル材を採用する主として高級乗用車などへの輸出増加 に加え、トラック架台の需要増に2年連続でプラスとなった。輸出分野では海外関連工場への素条輸出の増加や輸出環境の好転などにより、これも2年連続プラ ス。
 「押出類」の生産量は9月64,144d、上期合計373,820dで4年ぶりマイナスとなった。過去最高を記録した1997年上期に比べ ると40.5%の減少である。建設分野での新設住宅着工戸数は増加しているものの、建設全体は5年連続マイナスのため。自動車分野では国内乗用車の生産台 数と連動し、マイナスに転じた。
 「箔」の生産量は9月9,036d、上期55,808d、出荷量は月8,905d、上期53,548dとなっ た。生産・出荷ともに3年ぶりマイナスである。箔の需要先として電気機械器具と食料品関係の分野があり、この分野への上期出荷量は電気関係24,838 d、食料品14,170dであった。このうち、コンデンサー向けは太陽光発電の出荷低迷などでマイナス。リチウムイオン電池向け(モバイル機器用、車載 用)が過半数を占める「その他の電器機器」はマイナスとなったが、前年の数字が高すぎたことによるもので、7月に初めて月間2,000dを超えるなど需要 は堅調に推移している。


注目浴びたオリジナル止水製品
文化シヤッターグループ出展

 去る11月19日〜21日の3日間、北九州市の西日本総合展示場新館において『SAFETEC 2015 第1回西日本防災・防犯危機管理展』が開催された。この展示会に、文化シヤッター(茂木哲哉社長)が出展した同社グループのユニークな開発製品が注目を浴びた。
  近年、増加傾向にあるゲリラ豪雨対策の止水製品として、簡易型止水シート「止めピタ・フロントタイプ」、事前工事不要のBX止水板「ラクセット」、水深3 メートルの水圧にも耐える止水ドア「アクアード」3製品と、火災時に発生する煙の拡散を防ぐことで安全に避難できる不燃シート製の固定式防煙たれ壁「ケム ストップU」の4製品である。


SUS、受賞作品決定
「t2住むためのプロダクト」

 FA向けアルミ製機 器製品および機械装置の設計開発、製造、販売会社であるSUS株式会社(本社:静岡県静岡市 代表取締役社長:石田保夫 以下、SUS)が開催した、アルミ製居住ユニット『t2(ティーツー)』を用いた新しい居住スペース、居住スタイルの提案コン ペティション『SUS「t2 住むためのプロダクト」Competition'15』の受賞作品が決定した。なお、12月4日(金)に恵比寿ガーデンプレイス内、ウェスティンホテル東 京にて授賞式を行う。 
 本コンペティションは、「メタボライジング」をテーマに、「増やせる。減らせる。動かせる。」という特徴を持つ“住むためのプロダクト”『t2』を使って、居住の新しい概念を考えるコンペティションである。
  和田智氏(カー&プロダクトデザイナー/SW design代表取締役CEO)、マーク・ダイサム氏(建築家/クライン ダイサム アーキテクツ代表)、金田充弘氏(構造エンジニア/東京藝術大学美術学部准教授/Arup東京事務所)に、石田保夫(SUS代表取締役社長)を加えた4名 の審査員により 、最優秀賞1点、優秀賞1点、佳作5点が選ばれた。
 最優秀賞「部屋を持ち運びながら移り住む」は、永きに渡って市場で取引され 続けるt2を想定した提案である。これまで住宅は古くなれば価値も減じるものだったが、この作品はカスタマイズやメンテナンスを繰り返しながら住み続ける ことで、t2にヴィンテージ品のような価値を創出させようという提案で、住宅に対する新しい価値観を提示したことが評価された。
 また、優秀賞は、施設の老朽化や陳腐化が問題となっている集合住宅を、t2を使ってリノベーションする案で、現在、日本が直面するニュータウンの問題 などを解決しうる実効性が評価された。
 同社では、この度応募された作品を実現化できるよう、今後も『t2』をはじめとするアルミの 進化に向けて技術開発を進めるとともに、『t2』の販売と普及を通して、居住に対して新しい価値観を提供していく考えである。
 受賞者は次の通り。
 ・最優秀賞「部屋を持ち運びながら移り住む」植木貞彦(日本設計)
 ・優秀賞「t2 meets Danchi “ヤドカリズム”」黒崎涼太・須藤大志(本田技術研究所)、山川陸(グリ設計)
 ・ 佳作「駐車場に住む」布目和也(Studio N)、「t2 MULTI HABITATION LIFE」安田剛(シグマ建設シグマ一級建築士事務所)、「中銀カプセルの更新」上田憲二郎(上田憲二郎建築事務所)、「関係人口の拡大を図る」小海諄・ 大川薫平・佐久間大和(日本大学理工学部海洋建築工学科)、「t2 CELL CITY ― ever changing construction」Cheveneau Ohashi Architect & 池宮城 薫


UACJ ラヨン製造所
一貫生産開始の記念式典

 UACJ の100%子会社であるUACJ (Thailand) Co., Ltd.(本社:タイ王国ラヨン県アマタシティ、社長:山口明則)は、ラヨン製造所におけるアルミニウム板材の一貫生産を8月25日に開始したことを記念 し、11月20日にタイ王国バンコク市で記念式典を開催した。タイ王国そして日本を含む世界約20ヵ国から官公庁、お客様およびパートナー企業をはじめと する約500名の来賓を招待し、UACJから山内会長、岡田社長、UACJ (Thailand) Co., Ltd.から山口社長も出席した。
 UACJ (Thailand) Co., Ltd. ラヨン製造所は、世界最新鋭の製造設備に最先端の技術を導入し、高品質とコスト競争力を両立するアルミニウム板製造のアジアにおける基幹工場である。 2017年までに年間20万dの供給体制を確立し、将来は年間30万dの生産体制を実現させ、確実な成長が見込まれる東南アジアとその周辺地域や、北米、 中東、アフリカなどにアルミニウム板製品を供給していく。
 UACJ (Thailand) Co., Ltd.は、2012年3月よりラヨン製造所の建設に着手し、2014年1月より冷間圧延から仕上げ加工にいたる下工程の第1期操業を開始した。2015 年8月に鋳造から熱間圧延までの上工程の建設を完了し、一貫生産を開始した。
 世界最新鋭・最大級の鋳造ライン、熱間圧延ライン、冷間圧延機、表 面処理・塗装ラインを導入し、主にアジア市場における飲料缶メーカー、自動車部品メーカー向けに、飲料缶材、自動車用熱交材などの高品質・高付加価値な製 品を供給する体制を整えた。今後も需要増加に応じて生産設備の増強も検討し、アジア最高レベルの生産拠点を目指す。
 敷地面積50万平方メートルのこの製造所は、タイ東部ラヨン県のアマタシティ工業団地内にあり、レムチャバン港からの製品輸出も容易という戦略的立地条件を備えたエリアに位置している。海抜104mに位置し、津波や洪水といった自然災害のリスクを低減している。
 UACJ は、中期経営計画「Global Step T」において“自動車を中心とした輸送分野、エネルギー分野などの成長製品の拡大とアジアを中心とした成長地域の事業強化”を重点方針として掲げている。 UACJ (Thailand) Co., Ltd. ラヨン製造所の一貫生産開始により、アジアでの製造拠点拡充はより強固なものとなる。成長著しいアジア市場の需要を獲得することで、既存の米国・中国・欧 州などの製造拠点とあわせて、グローバル市場におけるアルミニウム板圧延事業をさらに強化し、今後もさまざまなユーザーのニーズに応えていく。
 【UACJ (Thailand) Co., Ltd.の概要】
社名 :UACJ (Thailand) Co., Ltd.
代表者氏名 :代表取締役社長 山口明則
所在地 :本社、ラヨン製造所:Amata City Industrial Estate 7/352 Moo 6, Tambol Mabyangporn, Amphur Pluakdaeng, Rayong Province 21140, Thailand
営 業所:No.689 Bhiraj Tower at EmQuartier 26th FL., Room No.2602-2608, Sukhumvit Road, Klongton Nue, Wattana, Bangkok 10110, Thailand 
資本金: 125億タイバーツ  従業員数:(2015年9月末時点) 680人
 【UACJ (Thailand) Co., Ltd.ラヨン製造所の概要】
敷地面積 :500,000平方メートル
建屋面積: 約110,000平方メートル
主な設備と仕様 :鋳造ライン、熱間圧延ライン、冷間圧延機、スリッター、表面処理・塗装ラインなど
 【熱間粗圧延機の仕様】
タイプ: 4-high Reversing Mill
最大速度: 180メートル/分
最大幅: 2,250ミリ(ロール面長 2,500ミリ)
最大重さ :30d
 【熱間仕上圧延機の仕様】
タイプ:4-high 4-stand Tamdem Mill
最大速度: 550メートル/分
最大幅:2,250ミリ(ロール面長 2,500ミリ)
最大重さ:28d 
生産能力:(2015年9月末時点) 192,000d
生産品目 :飲料缶材、自動車用熱交材、その他一般材


外装CW工事完了
YKK APファサード

〜CTBUH 2015年度アジア・オーストラリア地域最優秀作品賞受賞〜
〜BCA「BIM Awards 2015」最高位 Platinum Award受賞〜
 YKK APのグループ会社であるYKK APファサード社(社長:小野寺 哲也、本社:シンガポール)は、シンガポールの大型オフィスビル「CapitaGreen」(キャピタグリーン)の外装カーテンウォール工事を2013年 6月から開始し、2014年12月に完工した。
   この「CapitaGreen」は、2014年12月に竣工し、先日、国際NPOのCTBUH(高層ビル・都市居住協議会)による2015年度のアジア・ オーストラリア地域の高層ビル部門の最優秀作品賞「2015 Regional Winners for Best Tall Building」を受賞している。
 同物件は、グリーン=環境をテーマ にしたオフィスビルで、外装に断熱性の高いセミダブルスキンを採用しており、点支持ガラスで構成されるアウタースキンと、ユニタイズドカーテンウォールで 構成されるインナースキンの間に植栽を組み込んだ“グリーンファサード”を採用している。建物内の熱効率を向上させ、建物全体でのエネルギー削減効果が期 待されており、BCA(シンガポール建築建設庁)による「Green Mark認証」の最高評価であるPlatinumを獲得している。
 また、 実施設計・施工段階では、竹中工務店とYKK APファサード社などで構成されるプロジェクトチームにて、「Building Information Modeling」(ビルディング・インフォメーション・モデリング、以降BIM)の技術が活用されたが、各社が担当する工事範囲を3Dモデルの活用によ り可視化することでプロジェクト全体の生産性の向上に繋げたことが高く評価され、2015年10月、BCA主催の「BIM Awards 2015」にて最高位となるPlatinum Awardも受賞した。
 YKK APファサード社は、引き続き、これまでの数多くの高層建築の外装工事で培ってきたノウハウと技術を結集し、超高層・高難度物件における外装の設計・製造や、安全でスピーディーかつ正確な施工を実施していく。
 【「CapitaGreen」(キャピタグリーン)」概要】
所在地 :138 Market Street(シンガポール)
建築面積 :約3,627 m2
延床面積 :約82,007 m2
基本設計:株式会社 伊東豊雄建築設計事務所
設計・施工 : 株式会社 竹中工務店
竣工:2014年12月
オープン:2015年9月
 【YKK APファサード社の主な担当箇所】
点支持ガラスカーテンウォール:約25,250 m2
ユニタイズドカーテンウォール:約20,700 m2
低層部ガラスウォール:約 5,000m2


アルミ電線に全面的切り替え
関電がやっと腰を上げる

  関西電力は電気を家庭に送る配電線網をアルミ製に刷新する。現在の銅製に比べて調達費用が2〜3割ほど下がり、軽量で保守点検もしやすい。2015年度中 に大阪府内の一部で始め、16年度から管内全域に広げる。原子力発電所の停止が続く関電は財務の悪化を防ぐため、設備投資を抑えてきた。低価格で機能が維 持できるアルミ電線を導入し、コストを抑えながら老朽化した配電網を再整備する。発電所でつくった電気は各地の変電所で電圧を下げ、配電線を通って家庭や ビルに届く。全長14万キロメートルに及ぶ関電の配電網は1960年代の高度経済成長期に集中して整備され、老朽化が進む。設備が更新時期を迎えるのに合 わせ、アルミ電線を全面的に導入する。
 原材料となるアルミニウムの価格が銅よりも安いため、アルミ製の配電線は銅製より安価になる。ロンドン金属取引所(LME)では銅の先物価格が1d4,800ドル程度に対し、アルミニウムは同1,500ドル程度だ。
  関電はまず都市部の再開発などに伴う配電線の新設や移設でアルミ線を採用する。既設の配電線も30年程度かけて全て交換する方針。調達や設置にかかる費用 は累計で1,000億円規模とみられる。一方で銅線との差額などで累計のコスト削減効果は数百億円程度になる見通しだ。
 コスト削減が進めば、小売業に参入する事業者(新電力)が送配電網を大手から借りる時に支払う使用料金(託送料金)の引き下げにつながる可能性がある。将来的に消費者にも恩恵が及ぶことになる。
 関電によると託送料金の原価のうち、配電線など配電設備の修繕費が1割強を占める。
  アルミ電線は軽量で工事しやすいが、銅電線より直径が20%程度太い。風が吹くと揺れやすいため、電線の交換には電柱も建て替えて高強度化する必要もある のが難点だった。関電は風で揺れにくいアルミ電線を古河電気工業と共同開発。電線の表面に多くの溝を入れ、細かな凹凸をつけることで風の抵抗を抑える。電 柱を建て替えなくても導入できるようにした。
 東京電力などは60年代にアルミ電線を導入したが、関電は銅線用につくられた設備との接続や潮風への耐久性への課題もあるとみて、一部地域での導入にとどめていた。電力小売りの全面自由化で一層のコスト削減が重要となることをにらみ、戦略を大きく転換する。


マグネシウム燃料電池を併設
災害対策用自動販売機を展開

  アサヒ飲料鰍ヘ、樺F中央経營研究所(東京都中央区、金子圭助社長)と一般社団法人東北再生可能エネルギー協会(仙台市青葉区、尾形直樹代表理事)が実施 する「飲料自動販売機併設型マグネシウム空気電池導入プロジェクト」に参画し、マグネシウム空気電池を併設した災害対策用自動販売機を世界で初めて展開す る。
 同プロジェクトは、大容量発電のマグネシウム空気電池を搭載した飲料自動販売機を、避難場所などに設置して災害時の電力供給を確保するも の。2016年1月から、福島県内の学校や病院といった避難場所を中心に100台を設置予定で、2017年以降も福島県以外の被災県指定避難所への設置も 検討していく。
 今回併設するマグネシウム空気電池は、大容量発電が可能であり、災害時にはライフラインの復旧の目途となる72時間の電力供給を 可能としている。自動販売機の継続稼働に加え、パソコンや複数の携帯電話、TVなども使用し続けることができるため、被災者にとって必要になる照明や情 報、通信などのインフラとして活用することが可能となる。


日本マグネシウム協会
平成27年技術講演会を開催

 日本マグネシウム協会では、平成27年技術講演会を「医療分野へのマグネシウム合金適用の可能性」として開催する。
 マグネシウムは実用金属中で最軽量であることが大きな特徴であるが、人体に必須な元素であることにも関係し、最近では医療分野での注目が高まっており、生体以内材料などへの展開が期待されている。
 同講演会は、医療分野へのマグネシウム適用の期待や可能性について、さまざまな専門家から話を聞くことができる貴重な講演会となっている。
 要領は以下のとおり。
日時:平成27年12月10日(木)10:00〜16:30
場所:機械振興会館館 B2-1室(東京都港区芝公園3-5-8)
 【プログラム】
10:00 開会 <挨拶:日本マグネシウム協会>
10:05〜11:25 @医療分野におけるマグネシウムデバイスの開発動向((国研)産業技術総合研究所 花田幸太郎)
11:25〜11:55 Aマグネシウム合金の医療デバイスへの応用の可能性について(不二ライトメタル 上田祐規)
11:55〜12:55 休憩
12:55〜13:45 B生体内分解性金属材料の医療応用に関する研究開発動向((国研)物質・材料研究機構 山本玲子)
13:45〜14:35 Cステント用材料の開発について(仮)(鞄本医療機器技研 佐々木誠)
14:35〜14:50 休憩
14:50〜15:40 D小児科分野から観るマグネシウムデバイスへの期待(東京大学医学部附属病院 小児科 平田陽一郎)
15:40〜16:30 E生体分解性素材を用いた医療用デバイスの可能性(徳島大学医歯薬学研究部 心臓血管外科 黒部裕嗣)
16:30 閉会
 申し込みは、日本マグネシウム協会ホームページにある申込書に記入の上、協会 事務局(e-mail:office@magnesium.or.jp、FAX:03-3243-0285)まで送る。 



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